ヒゲにも名前があります
柔らかな猫の身体の毛とは違い、固くてしっかりとしている猫のヒゲは、触毛と呼ばれ、顔だけでなく、全身の1~4平方cmに1本くらいの割合で生えています。触毛の毛根にはたくさんの神経細胞が集まっているので、ほんのわずかな刺激も敏感に感じ取ることができます。顔のヒゲにはそれぞれ名前があります。
ヒゲにも名前があります
1:上毛
2:頬骨毛
3:口角毛
4:顎下毛
ヒゲの役割
猫のヒゲは猫が日常生活を送る上でとても重要な働きをします。猫はヒゲのおかげで平衡感覚が保てたり、自分や周りのものが動くときのわずかな空気の流れで、物との位置関係を感知できるので、暗闇でもぶつからないで歩けます。
顔に障害物が当たる前にヒゲが感知
上毛はまぶたの神経とつながっているので、顔に障害物が当たる前にヒゲが感知し、目を守ります。
頬骨毛や口角毛で、猫は自分の身体が通れるかどうかを測るといわれています。
顎下毛は、食べ物の温度を感じ取ることができるといわれています。
また、前肢の親指の肉球(手根球)の上にもヒゲと同じ役割の付属植毛が生えていて、このおかげで身体の周りの障害物を感じることができます。
猫のヒゲは感情を表します
ヒゲで猫の感情を読み取ることができます。ヒゲに力が入っておらず、自然に下を向いているときは猫がリラックスしている証拠、ヒゲが前を向き口吻にも力が入っているときは警戒中、興奮、緊張しているとき、自分のまわりを注意/観察しているときはヒゲが顔の周りに開くような感じで広がります。猫のヒゲは感情を表します
もしヒゲがなくなったら!
大切な働きをする猫のヒゲがなくなると、猫は身体の周りの刺激が感知できなくなって、とても不安で動けなったりします。ヒゲは半年周期くらいで抜け替わりますので、自然に落ちるヒゲは大丈夫です。余談ですが。
我が家の預かり猫さんのヒゲがある日突然、半分なくなってしまいました。あらら~大変! と思って観察していると、1頭の猫さんが、他の猫さんを抱え込んで「いい子、いい子」とばかりに、顔を舐めまくっていました。そのうち、ヒゲが口に引っかかると、顔にゴミがついていると勘違いしたのか、一生懸命ヒゲをむしゃむしゃ食いちぎっていったのです。
もしヒゲがなくなったら
このような光景は、お母さん猫が子ねこに対してやることがあります。お母さん猫も子ねこの顔にゴミがついていると思い込むのでしょうか。きれいに囓りとってしまい、気づいたら子ねこの顔はつるんつるん。なんかおかしな顔だなと思って、初めてヒゲがないことに気づきます。
猫のヒゲを切ることはもちろん絶対にしてはいけませんが、このヒゲをむしり取られたうちの預かり猫の日常生活になにか問題が起きたかというと、まったく普段と変わりはありませんでした。
このようなとても面倒見の良い(少し)迷惑な同居猫がいなくても、活発に動く猫は遊びの最中にヒゲが折れることがありますし、また身体が弱っているとヒゲの伸びが悪かったり、ボキボキ折れることがあります。
立派なヒゲは健康のバロメーターです。たまには、きれいなヒゲが生えているか確認して下さいね。