薬剤師レジデントとは
今まで、大学病院など医療の最前線での活躍を目指す薬学生の多くは、薬学部を卒業後にそれらの施設で研修生という立場で臨床研修を受けてきました。米国での薬剤師制度に習い、日本でもレジデントは広がっている
近年、日本でもこのレジデント制度を採用し、働きながら段階的に研修を受けることで、専門性の高い薬剤師の育成に取り組む施設が増えてきています。
しかし、現在行われている薬剤師レジデント制度は医師の臨床研修のように公的なものではなく、プログラム内容自体も各施設によって異なり、研修期間も1~2年と幅があるのが現状です。
研修生とレジデント、違いは?
薬剤師研修生としての採用は、従来から大学病院等の施設で行われてきました。ここでは、大学で学んだ知識を、現場で即戦力として使えるようにするためのOJTが中心に行われ、薬剤部に欠員が出ると研修修了生の中から採用され、職員の多くが研修修了生出身となっていました。では、この研修生と最近増えてきたレジデントは何が異なるのでしょうか?
一番の大きな違いは、レジデントには給与が支払われるということです。
研修生と異なりレジデントは給与が貰えるので、研修に集中できる
また、交通費や福利厚生なども職員同様に与えられるところもあります。つまり、職員という立場で給料を得ながら研修が受けられるという点で、レジデントという制度は薬剤師としてスキルアップを目指す人に有益な制度になっています。
薬剤師レジデントが学ぶこと
ここでは一般的な2年間のレジデント研修について見てみましょう。レジデント制度により、2年間で臨床力のある薬剤師を育成する
まず、最初の1年間は臨床で働く薬剤師として基礎的な知識と技能を身につけます。主に、調剤や病棟業務に従事し周辺知識についても学んでいきます。
2年目は、1年目で身に付けた基礎業務の発展と専門研修を行うところがほとんどです。ここでいう専門研修とは、薬剤師としてより専門性を高めるために創設された、がんや感染制御、精神科など専門薬剤師の取得へ向けた教育です。
これら専門薬剤師の取得には、それぞれの資格を認定する学会の認定施設での研修が条件になっている場合があります。例えば、日本医療薬学会の認定するがん専門薬剤師の取得には、同会の認定を受けた研修施設での研修を履修することが申請要件になっています。
このように、薬剤師レジデント制度の多くは学部や大学院を卒業したての薬剤師を対象とするものですが、中には薬剤師としての数年のキャリアを積んだ人が、さらにがんや感染症など特定の分野について学び、スペシャリストを目指すことも可能で、注目を集めています。
将来、各専門薬剤師への道を考えているなら、レジデント先にそれぞれの資格取得へ向けた指導者がいるか、また、学会の認定施設になっているかなども考慮してみることが近道です。