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住宅業界の動向 2013年の振り返りと2014年の展望

消費増税8%へのアップに振り回された2013年が過ぎ、2014年が間もなくスタートしようとしています。では、住宅取得に向けどんな1年になるのでしょうか。そこで今回は住宅業界のこの1年の振り返りと、来年のポイントについて書いてみました。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

早いものでこの記事が2013年の最後。そこで今回は住宅業界における2013年の振り返りと、2014年の展望について書いてみたいと思います。2013年は来年4月に消費税率が8%(現行5%)にアップするということに振り回された感がありますが、2014年も税率アップの影響を踏まえた様々な動きが住宅業界で起こりそうな気配です。

どうだった? 消費税率アップ前の駆け込み需要と反動減

私は昨年末、今回の記事と同様の話を書いたのですが、そこで「消費税率のアップが最大の話題になる」という意味合いの記事を書きました。それについては的中したのですが(まぁ状況を考えれば当たり前のことですが)、予想外だったのはフタを開けてみるとその影響が限定的だったということです。

消費税

2013年は翌年4月に消費税率8%になることから住宅取得への関心が非常に高まった1年だった。2014年も2015年10月の10%へのアップに向け、消費税に関する議論は要チェックだ

私が心配していたのは、大きな駆け込み需要が発生し、2014年以降の住宅市場が大荒れになることでしたが、過去の消費税率アップの際(1997年、平成9年)と比べれば住宅市場の落ち込みは比較的緩やかな様子。私がこれまで取材した範囲では各社とも9月まで受注が好調で、10月以降も「住宅需要はまだまだ底堅い」と話すハウスメーカーの経営者もいるくらいです。

このことをどう考えればいいのか色々と考えたのですが、一つは消費税率のアップが大きな影響を与えないよう、政府による住宅取得支援策が充実していたことが指摘できます。言葉を換えると、消費税アップ後に住宅を取得した方がお得になる人も出てくるようなそんな仕組みがあり、そうした情報から消費者がいつが買い時なのか理解し冷静に検討していたということです。

前回消費税率が改定された1997年は、税率アップの補完策となる住宅政策がほとんどなく、そのため税率アップ前の駆け込み需要が膨大になり、その反動減に住宅産業が大変苦しんだという経緯がありました。ですが、今のところそのような心配はなさそうです。

もう一ついえるのは、アベノミクスに代表される現在の経済環境がそれだけ力強さを持っていたということの現れなのかもしれないということ。住宅市場は景気の先行きに敏感に左右されるものといわれ、これまで株価などの先行指標が良い時期は比較的、需要は堅調に推移してきました。そのことが現在の状況にも当てはまるということです。

2014年は2015年10月の税率10%へのアップをにらんだ1年に

展示場の来場者

普段は閑散としている感のある住宅展示場だが、2013年は非常に熱心に住宅取得を検討する人たちで盛り上がっていた

ただし、ここまでのお話はあくまで10月~12月の住宅市場を振り返ってのこと。来年4月の消費税率8%に突入した時点で、消費動向がどう転ぶのかはわかりません。ですので、これから住宅取得を検討しようという方々は、4月以降の景気の状況などを検討材料として判断されるのが良いかと思われます。

もう一つは、2014年は消費税率10%への上昇をにらんだ1年になるということを考えておくべきでしょう。10%の税率適用は2015年10月の予定。そこまでにもう一段の住宅の駆け込み需要が発生することも大いにあり得ます。ただ、注意も必要。10%に本当にあげるのか、さらには軽減税制が実施される可能性があることなど、まだまだ不透明な部分があります。

軽減税制とは、生活に不可欠な製品やサービスについて消費税率を低く抑えることをいいます。例えば欧米では食料品や住宅の取得について、この制度が適用されている国があり、日本でも導入すべきとの議論があります。その導入状況の是非はもちろん、現在の住宅取得支援策がその影響から変化することもありますので、私たち消費者はしっかりと注視すべきだと思います。

10%への税率引き上げも景気動向を見定めながら実施の是非を決めるものだと思われます。とはいえ何かと強気な現政権ですから、10%への移行は既定路線でしょう。とにもかくにも、消費税率10%は住宅取得を目指す人たちにとっては大きな関心事には違いありませんので、住宅市場の先行きは不透明であるのは否めません。

ここまで消費税率の話題を中心に書いてきましたが、次ページについては住宅のトレンドについてのお話を中心に書いていきたいと思います。
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