ボンヴーとは
先に紹介したセゾンデュポンと同じ、エノー州トゥルペにあるデュポン醸造所の最高級ブロンドビールです。1970年にニューイヤーのプレゼントとして登場しました。現在はボンヴーという名前ですが、以前ベルギーではスペシャル ヌーベルアン(特別な新年)、日本ではデュポン スリーと呼ばれていました。通年醸造になって、スペシャル ヌーベルアンがヌーベルアンになって、元々の「デュポン醸造所より幸福を祈って」という名前に戻ってきました。新年と幸福をあわせ持った「謹んでお届します」といったかんじですね。限定ビールが通常のラインナップに加えられたのは、クリスマスビールからシメイ グランレゼルヴが有名です。プレゼント物はクオリティーが高いので商品化になりやすいということでしょうか。
デュポン醸造所は、ここ近年世界的に人気が上昇しています。醸造所の規模、家族経営、セゾンが世界的に流行っている、美味しい、バリエーションが豊富など、いくつも要素はありますが、今ベルギーの中でも最も注目されている醸造所の一つです。
2003年に現代表のオリビエ氏のお兄さんがデザインしたラベルに変更になり、合わせてアルコール度数も0.5%UPの9.5%になりました。
発酵タンクが特徴です
日本に紹介できたのは1995年3月、750mlの大瓶しかありませんでした。今振り返ると、このワンサイズだけで始まったことが、後に熱狂的なファンが生まれるには重要なことだったのかもしれません。瓶内発酵の具合を楽しむビールだから、容量が大きく、活き活きと育つ環境が大事。ボンヴーはいくつもの重要な要素をあわせ持っていました。当時から瓶内熟成の重要性を理解していて、シメイ プルミエール(シメイ レッド750ml)を常飲していた人達に愛されたことも納得できます。デュポン醸造所のビールの魅力を造りだす秘密は発酵タンク。底面積が広い四角いタンクで、酵母は細胞分裂を繰り返し、ビールを造っていきます。ボトリングしたら瓶を横にして、2週間以上熟成させてから出荷します。デュポン社の酵母は沈殿しやすく舞いやすい、ボトル内の酵母も美味しさの一つと考えて楽しんでください。シリーズの中でも特にボンヴーは発酵臭と合わさって、擦り下ろしたリンゴのような香りを強く感じる瞬間もあります。
アルコール度数も強く、後味の苦みもしっかりと口に残るので、ビール自体で味バランスが完結しています。ボンブーのような、高アルコールのブロンドビールに合わせる料理を考える場合、6杯目のデュベルトリプルホップ同様にシンプルな料理が似合います。ナッツ類の植物性油脂、乳製品、タンパク質はとても相性がいいです。ボンヴーはガス感が弱くて、喉越しと全体バランス柔らかいので、自然の味がギュっと詰まった料理が似合います。
次頁ではボンヴーにぴったりの料理をご紹介します。