アベノミクス効果で潤った不動産業界
株高とインフレ観測が購買を後押し
2014年のマンション市場を不動産コンサルタントとして活躍され、「初めての不動産投資」「家を買いたくなったら」「家を借りたくなったら」などの著者であり、不動産業界に幅広い人脈を持つ、長谷川不動産経済社代表取締役の長谷川高氏にお話を聞きました。■プロフィール:長谷川高氏
東京都出身。立教大学経済学部卒。大手デベロッパーにて、ビル・マンション企画開発事業、都市開発事業に携わったのち1996年に独立。以来一貫して個人・法人の不動産相談、調査、コンサルティング業務を行う。また、メディア出演や講演、執筆活動を通して、難解な不動産市況や不動産の購入・投資術を分かり易く解説している。
―――よろしくお願いします。まずは2013年の不動産市場を振り返ってどんな1年でしたか?
長谷川氏:
不動産業界にとっては、非常に良い1年だったと言えるのではないでしょうか。中でもマンションの売れ行きは好調でした。アベノミクスによる株価の上昇で、恩恵を受けた資産家が都心の億ションなどに資産を振り分けました。また、「デフレを脱却しインフレが来るのでは」という観測で不動産を今買った方が良いのではと考えている人も増えたでしょう。消費税のアップも一定の駆込み需要につながったと思います。
東京五輪の開催決定も、大きなトピックスです。湾岸エリアに注目が集まりました。沈滞ムードだった日本の不動産マーケットが久々に注目された1年だったのではないでしょうか。
―――注目されるトピックスはありますか
長谷川氏:
海外の投資家が日本の不動産を購入しています。特に都心エリアがその傾向が強いように感じます。円安の影響も大きいようです。
―――2014年の不動産マーケットについては、どうお考えですか?
長谷川氏:
まず考えないといけないのが消費税のアップです。実際に4月以降になってみないと不動産市場にどの程度の影響があるかははっきりしませんが、需要の先食いは少なからずあったと思います。消費税のアップで景気が落ち込むと節約傾向が強まる可能性もあります。2014年後半には価格が弱含む可能性もエリアによっては否定できません。一方で、相続税の増税が先々予定されています。相続税対策として、現金をマンションなどの不動産にかえる動きは続くと思われます。都市部と郊外のマーケットが違った動きをする可能性もあります。
―――価格トレンドはどう考えますか?
長谷川氏:
前回の消費税アップ時には、景気も落ち込み不動産価格も調整しました。消費税のアップで需要が落ち込み在庫が増えるようになると価格は弱含む可能性があります。価格が上昇するには、株価のさらなる上昇と給与所得がアップすることが必要です。給与がこのままで、価格が一本調子に上がっていくことはありえないと思います。給与の上昇には企業業績がアップする必要があるので、景気動向如何とも言えるでしょう。
次ページで、引き続き話をうかがいます。