妊娠の基礎知識/高齢出産

いつかではなく「今」 早めに産みたい人増える

「卵子の老化」という言葉が知れ渡り、早めに産みたい人が増えていることを示す調査がまとめられました。実際に産婦人科でも、不妊相談に来る女性の初診年齢、体外受精をする人の平均年齢が若くなってきています。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

子どもと遊ぶ母親

出産の優先順位を高くする人が増えている。

「卵子の老化」が関心を集めていますが、その口火を切ったNHKの「クローズアップ現代 卵子老化の衝撃」放映からまもなく2年が経ちます。この間、人々の意識は変化してきたのでしょうか。

 

子どもが欲しい既婚者の約7割が「今すぐに欲しい」

私も協力者として関わったベネッセ教育総合研究所の調査「未妊レポート2013 子どもを持つことについての調査」には、その変化が現れていました。子どもがいない人を対象にしたこの調査は2007年にもおこなわれたのですが、新旧データを比較すると、子どもを「今すぐに」持ちたいと答えた人の比率が増えていたのです。

「子どもがぜひ欲しい」「できれば欲しい」と答えた既婚者のうち男性71.1%、女性74.0%が「今すぐにでも持ちたい」と答えました。これは前回調査の60.8%(この時は女性のみの調査)に較べて明らかな増加となっています。

半数が、自分か相手の不妊を心配

その裏には、不妊症につながる高齢妊娠への不安があるようでした。既婚女性のうち、半数(51.1%)は、自分または配偶者が不妊かもしれないという不安を感じていました。

「卵子の老化を聞いたことがある」女性は7割、男性も半数

今回、「『卵子老化』という言葉を聞いたことがあるか」という新しい質問ももうけられたのですが、これには既婚女性の73.6%が聞いたことがあると答えました。既婚男性は47.0%と大幅に低いのですが、それでも半数が目にしたり聞いたりしているようです。

あいかわらず、教育費などへの不安は大きいけれど……

「子どもがぜひ欲しい」「できれば欲しい」と答えた既婚者は男性67.3%、女性の56.9%で、これは前回調査と比べて変化がありませんでした。調査では、教育費など「お金が不安」と答える人が多いという厳しい現実も浮き彫りになっており、子どもが欲しい人が増えている様子はありません。

しかし、産みたい人が以前より早く行動したくなっているのだとしたら、産みたいのに産めないと悩む人はこれから減るかもしれません。

不妊治療の現場で何か変化が起きているのかも気になるところです。
齊藤英和医師(国立成育医療研究センター周産期・母性医療センター不妊診療科医長)に聞いてみました。
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