サプリメントや内服薬による飛蚊症治療・改善は可能か

これも一言でいってしまうと、今のところ治せません。理由は、そのようなサプリメントや内服薬がないからです。ルテインなどのサプリメントが飛蚊症に有効であるかのような情報も目にすることがありますが、医学的にそのようなエビデンスはありません。

こう言い切ってしまうと、前ページの目薬と同様、そのようなサプリメントや内服薬を開発できないのか?ということになりそうですね。

先ほどの目薬の解説と同じ話の繰り返しになってしまいますが、こちらも順を追って解説します。

飛蚊症の原因である硝子体の濁りを解消するためには、その濁りを化学的に溶かすか、物理的に除去するしかない、ということは、先に解説した通りです。サプリメントや内服薬でこれらを除去するということは、当然「化学的に溶かす」という作戦を取ることになります。

硝子体は特別な組織ではなく、体内に普通に存在するコラーゲンとヒアルロン酸が主体です。特に硝子体の濁りは、コラーゲンが主体と思われます。体中にコラーゲンは存在するわけで、硝子体に濁りを溶かすサプリメントや内服薬ということは、体の他の部分も溶かしてしまうサプリメントや内服薬だというわけです。

さらに、もともとサプリメントや内服薬はほとんど硝子体内まで移行しません。ということは、硝子体内で効果を発揮してくれる濃度にあげるためには、サプリメントや内服薬を大量に飲んで、全身の血中濃度をものすごく高める必要があります。

目薬に続いて、ここを読んでくださっているみなさんならもうお分かりですよね。そんな大量の、目の中にある硝子体の中のコラーゲンまで溶かしてくれるようなサプリメントや薬を飲むと、目の周りや目の内部どころか、体中がぼろぼろになってしまうというわけです。

というわけで、目薬同様、サプリメントや内服薬で飛蚊症を治療するのも、永久に無理だと思います。

飛蚊症に効くサプリ・薬を眼内に直接注射する治療法は?

ここでも目薬同様、飛蚊症の原因である硝子体の混濁、すなわちコラーゲンを溶かすサプリメントや内服薬を眼内に直接注射で入れたら治療はできるだろうか?と、また、眼科医としては考えてしまうところです。

こちらも、目薬のところで述べたことと全く同じことの繰り返しになります。なぜ同じかといえば、目薬はサプリメントや内服薬を溶かしたものに過ぎず、目薬も内服薬も、根っこは同じだからです。

余談になりますが、私たち眼科医は、どうしても必要な目薬がない場合、内服薬を溶かして自分で目薬を作ることもあります。その他にも、点滴で使うお薬を直接点眼するなど、ともかくも目の前の症状を治療・改善するために有効と考えられることを考え、あの手この手と治療を試みます。

前ページの繰り返しになりますが、眼科領域の治療法は日々ものすごく進歩しているので、網膜や硝子体に薬を直接注入すること自体は簡単にできます。生理食塩水でそのお薬を溶かし、注射器に吸って注射するだけです。

しかし、目薬のところで解説した通り、網膜にもコラーゲンが存在しますので、溶かすものが目薬であれ薬であれサプリであれ、危険性は同じことです。網膜がぼろぼろになってもいいならば試してみてください……としか言えませんし、少なくとも現時点では自分の目には勘弁してもらいたい治療法です。

「サプリや内服薬で飛蚊症が改善した」という体験談は嘘?

これも目薬と同様です。硝子体の濁りは、自然に溶けてくれることがありますし、自然に移動して目立たないところに行ってくれることもあります。ですので、サプリメントや内服薬で飛蚊症がよくなったという経験があるという方は、それらを飲んだ飲まないに関係なく、運よく改善したものと思われます。ま、サプリメントや内服薬で治ったという幸福感を全否定するのもやはり野暮な話なんですが……。

次のページでは、生活習慣や食事で飛蚊症が治るのかを解説します。