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銀座にツーバイフォーの5階建てが完成!~三井ホーム(2ページ目)

先日、三井ホームが初めて建てた都内初のツーバイフォー工法による5階建ての見学。そのレポートから、「住宅ってどうやってできるの?」ということを考えつつ、木造住宅の最新動向もご紹介します。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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建物は上に伸びれば伸びるほど、耐震性の確保が難しくなります。ましてや今回の建物のように、狭小地に建つ細長い建物の場合はなおさらです。さらに、構造躯体が木材ですから、下の階ほど上の階の重みに強く影響されます。例えば、大きな地震が発生した場合、上階の揺れが大きくなりますから、下の階には大きな「引き抜き力」がかかります。

5階建てを可能にする耐震・施工の技術とは?

5階建ての建物の場合は、2階建てや3階建てで使われる一般的な金物(ホールダウン金物)ではこの巨大な引き抜き力に対抗できないため、三井ホームでは中層建築物専用のオリジナル「タイダウンシステム」というものを開発し、採用しています。

タイダウンシステム

中層建築物専用の「タイダウンシステム」の模型。棒状のタイロッドを新たに開発したスプリングカプラーで常に緊結し、地震の大きな揺れに耐えられるようにしている(クリックすると拡大します)

これは、上階と下階をタイロッドという金物で通して、それをこちらも金物のスプリングカプラーでがっちりとつなぐもの。このシステムは北米では一般的に使われている工法だといいます。ただ、ツーバイフォー工法に使われる木材は、木材である性質上、どうしても乾燥による収縮などの影響を受けます。

そうすると、上記の金物に緩みが発生しますから、それを解消するために独自に開発したスプリングカプラーを使い、常に金物に緩みが出ないように工夫されています。ちなみにこのスプリングカプラーという金物は、欧米のものより小型化・軽量化されており、施工性が高まったといいます。

ちょっと小難しい説明になってしまいましたが、現代の木造建築では木造軸組工法であれ金物を使うことが一般的。その中で三井ホームでは、今回のような難しい物件の施工にあたって、金物のような細かい部分に至るまで専用のものを開発できる技術力があるということが指摘できるのです。

もう一つ、この銀座のツーバイフォー5階建ての建物には、大きな特徴的なポイントがあります。それは施工方法。前ページで少し触れましたが、この建物は敷地の境界線ギリギリに建てるため通常必要とされる足場を使っていません。では、どのように施工したのでしょうか。

それは「改良型建て起こし工法」と、「パネル工法」を併用したことにより実現されています。施工の手順としては、プラットフォーム(各階の天井上)で建物側面の耐火外壁を制作し、それを油圧ジャッキで起こして設置。これを改良型建て起こし工法といいます。次に、工場で外壁材とサッシなどを施工した前面と背面の外壁パネルと床パネルを設置するというもので、これがパネル工法です。

ハウスメーカーと建設会社の違いはどこに出る?

オーナー宅

4階にあるオーナー向け住戸の様子。ここに住まいとしての快適さを実現するハウスメーカー・三井ホームならではの提案が多数盛り込まれている(クリックすると拡大します)

パネル方法はツーバイフォー工法の一般的な施工方法ですが、建て起こし工法という現場施工の工法と組み合わせることで、銀座のような繁華街や、敷地条件が厳しい住宅密集地でも敷地を有効利用できるように工夫されているというわけです。

ところで、銀座のような繁華街ではこれまで、建設会社がRC造によって建物を建てることが一般的でした。では、三井ホームのようなハウスメーカーが建設する建物とは、できあがりの面でどのような違いが出てくるのでしょうか。それは、要するに「住まいとしての質」の部分に表れてくるのだと思われます。

今回ご紹介した建物は1階に店舗、2階と3階は賃貸住宅、4階と5階はオーナーの居住スペースという構成になっています。店舗を除く全てのスペースを見学して感じたのが、この点でした。2階から3階まで通じる階段は、座って移動ができる昇降機がありました。これは、入居者が高齢者であっても快適に居住できるように配慮したもので、若干急な階段の傾斜を補う工夫でした。

このような工夫は、一般的な建設会社では行わないもので、住まい手の使い勝手に十分に配慮するハウスメーカーならでは配慮のように感じました。また、ツーバイフォー工法では一般的なRC造や鉄骨造のように柱や梁が室内に表れませんから、居住スペースを最大限活用できます。ですからオーナーの居住スペースなども、狭小地を感じさせない広々とした印象がありました。

今回の建物は防火地域に建てられたものですが住宅密集地に多い準防火地域にも対応可能。要するに、皆さんがお住まいの地域でもこのような工夫により、木造住宅でも安心で快適な住まいを実現できるということが、今回の記事においてご理解いただきたいことなのです。
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