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銀座にツーバイフォーの5階建てが完成!~三井ホーム

先日、三井ホームが初めて建てた都内初のツーバイフォー工法による5階建ての見学。そのレポートから、「住宅ってどうやってできるの?」ということを考えつつ、木造住宅の最新動向もご紹介します。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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皆さんは、木造住宅に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。「木のぬくもりが感じられる」など前向きなイメージの一方で、「鉄骨造やRC(鉄筋コンクリート)造の建物に比べ、地震や火災が発生した時に心配」などという風にお感じかもしれません。そこで今回は、木造住宅の一つ、ツーバイフォー工法の最新事例をご紹介することで、そんなマイナスイメージを払拭(ふっしょく)できたらと思います。

木造住宅でも耐火建築物が建築可能に!

先日、三井ホームが設計・施工したツーバイフォー工法による5階建ての建物を見学してきました。その建物があるのは東京都中央区銀座2丁目。東京はもちろん、日本における商業地のど真ん中。周囲はRC造などのビルが林立しているエリアにあるのです。

従来のRC造7階建てビルを建て替えたもの。建物の概要は以下の通りです。
建物用途=店舗併用共同住宅
建物構造=ツーバイフォー工法5階建て(1階部分はRC造) 耐火建築物
敷地面積=59.69平方メートル
延べ床面積=212.05平方メートル
最高高さ=18メートル

銀座のツーバイフォー5階建て

三井ホームが設計・施工したツーバイフォーによる5階建ての建物。銀座という日本を代表する繁華街にあり、この建物が木造住宅の最新動向を反映している(クリックすると拡大します)

銀座のような繁華街では、地震で倒壊しないということはもちろん、火災に強いことも重要になります。非常に多くの人が集まる場所ですから、ひとたび火災が発生し燃え広がるようですと、甚大な被害が発生することが予測されるためです。ですので、今回の建物は「耐火建築物」となっています。

これは壁や柱、床、梁、屋根などの主要構造部について、一定の耐火性能を有した建築物のことをいいます。また、開口部(窓など)で延焼のおそれのある部分に防火の工夫が施されていることも条件の一つ。要するに、火災が発生してもその被害を最小限に食い止められる建物が耐火建築物なのです。

従来までは、RC造や鉄骨造がこの耐火建築物を占めていました。コンクリートや鉄は燃えにくいということが理由だったのだと思われますが、技術の進化により2004年からは木造住宅(木造軸組工法やツーバイフォー工法)も認定を取得すれば、建築が可能になっています。

実はアメリカやカナダといった北米の国では6階建てなどの建物も建築されており、ホテルや商業施設などの大規模施設として、ツーバイフォー工法の建物が存在しています。ですが、日本では木造のみでの4層以上の建物は建築基準法で認められていないため、この建物では1階をRC造としているのです。

つまり、今後は木造による中層建築物の可能性がより広がりつつあるというのが、この建物が象徴していることなのです。そのため、三井ホームをはじめとする木造ハウスメーカーは近年、繁華街や住宅密集地における4階建て住宅の提案を積極的に進めています。

大型建築物にも広がる木造住宅の可能性

改良型建て起こし工法

「改良型建て起こし工法」の施工風景。惹起を使って人力で持ち上げるのが特徴で、これにより狭小地でも居住空間を最大限確保できるようにしている(写真は三井ホーム提供。クリックすると拡大します)

もう一つ、この建物からわかることは、狭小敷地という難しい問題を見事にクリアしているということです。上の写真をご覧になるとわかると思いますが、敷地の境界線上まで建物が建てられています。通常、建物を建てる際は足場を組まなければいけませんから、このような施工は実質上無理なのです。

この施工を可能とする技術については後ほど詳しくご紹介しますが、要するに繁華街や住宅密集地のような施工を行う上で非常に大きな制約が伴う場合であっても、ツーバイフォー工法には他の工法にも劣らないメリットを発揮できるということなのです。

ここまで説明すると少しは、「木造住宅ってどうなの?」という負の疑問が解消されてきたのではないでしょうか。さて、このような木造住宅の特徴について国も着目し、木材を使った大型建築物の建設を推進する動きも出てきています。それは「木造建築技術先導事業」という制度です。

これは木材の利用を住宅だけにとどめず、非住宅分やまでに拡大することで、国産材の積極的な活用を進め、森林環境の保全に努めようという取り組みです。木材は計画的に植樹と伐採を繰り返すことで再生可能で地球環境に優しい資源となることがその背景にあります。

今回の銀座に建てられた建物では、構造用合板などに北海道産のカラマツが使われていますが、そこには上記のような理由があるのです。次のページでは、今回の建物に採用された技術について見ていきます。
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