リノベーション/リノベーション実例

山の手の高級マンションもリノベーション販売の時代に

「リノベーション物件」といえば、これまでは築年が古くて安価になったマンションをスケルトンリフォームして、販売するものが中心でした。ところが、高級マンションにもその領域が広がっています。どんな展開なのか取材してみました。

山本 久美子

執筆者:山本 久美子

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100平米超の高価格帯マンションをリノベーションする「R100 TOKYO」 

歴史ある住宅地は良好な住環境を形成しており、そこに住みたいと考える人も多いでしょう。こうした人気の住宅地には、マンション用地になる土地が少なく、新築マンションの供給も少ないという傾向があります。また、新築の分譲があった場合でも、価格的に手が届かないとうこともあるでしょう。

そこで注目されるのが、既存のマンションです。個人で中古マンションを購入して、リノベーションをして暮らしている人も多いでしょう。個人でリノベーションできるのは、専有部分と言われる住戸の内部が中心です。ところが、マンションを1棟まるごとリノベーションする場合であれば、マンションの共用部分をリノベーションしたり、管理内容を変更したりできます。

こうした1棟リノベーションを多く手掛ける(株)リビタが注目したのが、東京の良好な住宅地に立地する「100平米超の住戸」を中心とする高級マンション。富裕層や外国人を対象とした高級賃貸マンションやバブル期前後に分譲された高級マンションが多数あります。今後、このような高額マンションのリノベーションを「R100 TOKYO」と銘打って、継続的に展開していくということです。第1弾として、目黒区の碑文谷、渋谷区の代々木上原という、閑静な住宅地に立地する2つのリノベーションマンションの販売を始めました。

「R100」はもちろん、年齢ではなく広さのこと。立地に加えて100平米超という住戸の面積にこだわってのことです。さらに、1棟まるごとリノベーションする場合は、築後100年の長期修繕計画を立てるなど、100年先も受け継がれるマンションにしていくという考え方も加わっています。
碑文谷エントランス

「ルクラス碑文谷」のエントランス

碑文谷コンセプトルーム

同物件コンセプトルームのリビングダイニング(以上写真提供/(株)リビタ)


「ルクラス代々木上原」を見学

ガイドは、第1弾のマンションのうち「ルクラス代々木上原」を見学しました。もともとは高級賃貸マンションだったものを1棟まるごと買い取って、まずは共用部分のバリューアップを行い、賃貸居住者が退去した住戸を順次販売していく手法をとっています。

1999年に竣工した建物は、築後15年がたっています。マンションでいえばちょうど第1回目の大規模修繕工事をする時期に該当するということで、共用部分については、屋上防水塗装や外壁補修等の基本的な修繕工事を行っています。それに加えて、防犯設備やインターネット環境を向上させたり、エントランスや中庭などの意匠デザインを改めたり、LED照明に交換したりといったバリューアップを施しています。これを踏まえて30年間の長期修繕計画を立てていますが、100年維持できるための修繕計画も併せて提示していくそうです。

住戸については、改修前の1住戸、コンセプトルームとして改修した2住戸の計3住戸を見学できました。未改修といっても、高級仕様の賃貸マンションだったので、そのまま住めるほどきれいな状態でした。それでも床や壁に多少の汚れがあったり、水まわりに使用感があったりするので、内装と水まわり、給湯器、換気設備の交換は標準的に行われます。間取りや仕様などは、購入者の意向をくんで改修することになっています。

また、R100 TOKYO独自の「マイオーダーシステム」を採用している点も特徴のひとつです。スタンダード設計に基づき4回以内程度の打合せでプランニングする「スマートオーダー」と8回以内程度の打合せでプランニングする「プレミアムオーダー」をベースに、インテリアやアート、グリーンまでトータルにコーディネイトする「トータルプロデュース」も準備されています。

コンセプトルームはそれぞれ、「スマートオーダー」と「プレミアムオーダー」に対応した改修がなされています。スマートオーダープランで改修したものは、約145平米のメゾネットタイプで、9900万円。1階と地階は既存のホームエレベーターと階段で行き来できるようになっています。既存のクリアーなガラスの間仕切りが開放感を演出しています。1階のフローリングは既存のフローリングの表面を削って、風合いが出るように塗装をし直したもの。本物の無垢材などよい部材が使われていたため、それを活かしているそうです。地階は居室2室と水まわりで、床はカーペット敷きです。
コンセプトルーム1

スマートオーダープラン。(写真左)右手にホームエレベーター、手前に室内階段がある (写真右)約20畳のリビングダイニング

コンセプトルーム2浴室

在来工法の浴室


プレミアムオーダーで改修したコンセプトルームは、約127平米のメゾネットタイプで、1億500万円。1階のフローリングや壁のクロスなどもセレクトしたものに張り替えています。キッチンはIHクッキングヒーターのアイランド型に変更し、浴室は地階のメリットを活かしてシステムバスではなく在来工法の浴室にしています。
自由度は高まりますが、スタンダード設計から増減する分は価格に反映されます。



コンセプトルーム2のLDK

プレミアムオーダープラン。(写真左)リビングダイニング (写真右)キッチン

コンセプトルーム2の主寝室

プレミアムオーダープラン。(写真左)寝室 (写真右)寝室からのぞんだテラス


入居後は定期点検などのアフターサービスとともに、「オーナーズクラブ」によるコンシェルジュサービスや生活支援サービスなどの提供も予定されています。
今後の販売予定は、本駒込、目黒などでの計画があるということです。なお、「R100 TOKYO」について詳しくは、公式WEBサイト「R100 TOKYO.com」http://r100tokyo.com/を参照ください。

今後もリノベーションは多様化する

さて、これまでのリノベーション物件は、古くて安いのにリノベーションで安心して快適に暮らせるという点が評価されてきました。しかし今では、お手頃価格帯のマンションだけでなく、高価格帯のものにも広がっています。また、カスタマイズ性を高めたものからセレクト型のものなどもあり、リノベーションの対象や仕組みは今後も多様化していくでしょう。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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