欲しい椅子は、ミニチュアで愉しむか!
僕は、椅子好きのファニチャーイスト。事務所も自宅も椅子曼荼羅。家内はあきれているが、慣れたせいか「いろんな椅子が家にあるって、その時々の使い方や座り方で気分も変わって楽しい!」が、口癖。
また仕事で椅子をデザインする、選ぶ時は、様々な条件を考慮することは当然だが、使い手の空間・使い方、暮らし方を意識することにしている。椅子は、私たちの暮らしの中で切り離せない大切な道具のひとつでもあるからだ。
それにしても椅子好きが高じていつの間にか多くの椅子が身の回りにある。数脚ならまだしも数十脚となるとかなり場所をとってしまう。
まっ、数百脚をコレクションし離婚騒動に発展した某大先輩もいらっしゃるようだが、いつしか「欲しい椅子は、ミニチュアで愉しむか!」とコレクションしたり自作する機会も増えて来た。ミニチュアモデルと言えば、僕にとって日頃クライアントにプレゼンテーションする場合の必至アイテムでもある。まずはミニチュアモデルを製作し、検討する。また家具デザインを指導する学校では、最初にミニチュアモデルを作成し、実寸製作に掛かるよう指導している。
もちろん、椅子に関するセミナーや談話の時は小さくて可愛らしいミニチュア椅子を持参する、これが結構受けるのである。
家具デザインを生業にしている僕にとってミニチュアは切りはなせない代物。きっと家具好き椅子好きの諸君の中にもミニチュア椅子を楽しんでいる方がいらっしゃることと思う。何度かご紹介したが、世界中からのコレクションした名作椅子のミニチュアを商品化するヴィトラミュージアムも有名である。
このミニチュア椅子、結構奥が深い。実際に作るのも生半可では出来ない。それだけに椅子の特性や素晴らしさもわかる、そして愛着が湧く。それに、ミニだから場所もとらない。そんなミニチュア椅子のことをもっと知っていてだく為にミニチュア椅子の製作をご紹介するシリーズを、と思い立った。
題して「石川 尚のデザインワークショップ【ミニチュア名作椅子を創る】」。
世界の名作椅子を1/6のサイズで再現する。オリジナルのマテリアル(素材)や製法技術を忠実に再現するハンドメイドワークショップ。実製作をおもしろおかしく解説する。
北欧デザインの巨匠:ハンス・ヴェグナーがデザインした椅子
さて、椅子と言えば世界中で星の数ほどデザインされ販売されているが、まず椅子を選ぶなら、北欧家具デザインの巨匠:ハンス・ヴェグナーの椅子が、王道だろう。何故ならば、生涯に500本以上の椅子をデザインしロングセラーの椅子の数々が現在でも販売され、世界中で愛用されているからだ。ハンス・ヴェグナーの椅子と言えば、諸君も雑誌やどこかのシーンで見たことがある「Yチェア」を筆頭に、椅子の中の椅子「ザ・チェア」、羽を広げておおらかな「ピーコックチェア」、独身者の為の「ヴァレット・チェア」、東京・六本木、ガラス曲壁とウェグナー椅子のある風景でご紹介の「スリーレッグ・シェルチェア」等がある。