各駅停車しか止まらない、
のんびりした雰囲気にコンパクトな商店街
東急東横線祐天寺駅(目黒区)は駅名の通り、古刹祐天寺のある街です。駒沢通り沿いにある祐天寺は八代将軍吉宗の時代に創建された寺で、開山の祖と仰がれた祐天上人は三代将軍家光の側室で五代将軍綱吉の生母であった桂昌院を始め、将軍家、皇族から深く帰依を受けた人物。累という女性の怨霊を成仏得脱させたという伝説があり、ひろく、歌舞伎、落語などの題材となっています。境内には累塚もあり、累物上演の折には役者さんがお参りに来たりもするそうです。ちなみに祐天寺という町名もあるものの、祐天寺自体が立地するのはなぜか、中目黒5丁目。不思議です。
さて、祐天寺駅は東急東横線の各駅停車しか止まらない駅で、隣駅中目黒、学芸大学に比べると、のんびりした風情が漂います。商店街は駅東側にしかなく、西側はすぐに住宅街。駅前に平屋の一戸建て、石屋さんがあると言えば、のどかな雰囲気がお分かりいただけるでしょう。
ただ、通りによっては空き店舗が続く場所もあり、率直なところ、あまり商売熱心でない雰囲気も。このエリアでは前述の祐天寺その他の地主が所有する借地が多く、土地代が安いため、それほどがつがつ仕事をしなくても済むのかもしれません。古い木造アパートもかなりの数、点在しており、目黒区=高級住宅地というイメージを持って訪れると、ちょっと違うと思われるかもしれません。
古い木造アパートなどが多く残っているためか、銭湯が多いのも特徴で、駅から10分ほどの範囲に3軒。少し前までは駅のすぐ近く、線路沿いにもあったほどで、庶民的な街であることが分かります。
各駅停車しか止まらない割には祐天寺駅を最寄りとするエリアは広く、それは東急東横線と平行して走る東急田園都市線、東急目黒線との間が広いため。駅前には三軒茶屋~祐天寺~目黒をつなぐバス停があり、多くの人がバス便を利用しています。
続いて、東急東横線祐天寺駅の住宅事情を見て行きましょう。