内科系疾患の問題傾向

内科系疾患に対する理学療法の関わりは、近年、特に重要視されており、その対象疾患は、循環器疾患(心疾患含む)に加え、糖尿病、C.O.P.D(慢性閉塞性肺疾患)に代表される呼吸器疾患など、生活習慣から発症するものが多いです。また、がんに対するリハビリテーションも患者数の増加と共に必要性が増しており、出題傾向にもその現状が反映され、がんに関する出題数が増えています。

続いて、個々の疾患に関連する出題傾向に移ります。
  • 循環器疾患に関して:心電図の波形を読み取る問題がここ数年、連続で出題されております。その他、生理学などの基礎を関連付けた、運動強度や血圧に関する問題も出ていますので、基礎学習との関連性も高いです。
  • 糖尿病に関して:血糖コントロールや運動指導、また、糖尿病の3大合併症といわれる神経障害、腎症、網膜症についてその病態を抑える必要があります。加えて、循環器疾患同様、生理学的な基礎学習。特にインスリンの作用なども含め内分泌についてしっかり復習しておきましょう。
  • 呼吸器疾患に関して:スパイログラフ、フローボリューム曲線など、呼吸リハビリテーションに必要な検査法の他に、肺や気管支、呼吸筋などの呼吸器の解剖学、在宅酸素療法やADL指導など出題されています。また、理学療法士でも気管吸引ができるようになったことから、気管吸引に関する問題も出題されています。
  • がん関連の問題に関して:化学療法期間中の患者への運動療法に関する問題や緩和ケアに対する問題が出題されています。
なお、いずれの疾患も共通していますが、病態生理や理学療法プログラム、リスク管理についてもしっかりと押さえる必要があります。

内科系疾患の過去問題と解答

 

過去問題第52回(2017年)

56歳の男性閉塞性動脈硬化症。半年前から左下腿から足部にかけて冷感と痛みが発現し、歩行距離も低下している。検査法と結果の組合せで正しいのはどれか。
  1. 立位体前屈―痛みの軽減
  2. 足背動脈の触診―リズムの不整
  3. 足関節上腕血圧比―1.2以上
  4. 両下肢の下垂試験―感覚異常の出現
  5. トレッドミル歩行―間欠性跛行の出現

この問題の答えは【5】になります。閉塞性動脈硬化症は50~70歳代の男性に多く、下肢の動脈硬化により間欠性跛行がみられます。その他の選択肢ですが、立位体前屈により痛みの軽減がみられるのは脊柱管狭窄症です。2の選択肢である足背動脈の触診でわかるのはリズムの不整ではなく拍動の強弱になります。続けて、3の選択肢ですが、閉塞性動脈硬化症による足関節上腕血圧比(ABI)は0.9以下になります。最後に4の選択肢ですが、両下肢の下垂試験では感覚ではなく下肢の皮膚色変化をみます。通常10秒ほどで赤みを帯びてきますが、背側性動脈硬化症の場合は1分以上かかります。

過去問題 第52回(2017年)

慢性腎不全患者に対する運動療法として正しいのはどれか。
  1. 運動によって腎血流は増加する。
  2. 血液透析日にも運動療法が行われる。
  3. 運動療法によって糸球体濾過量が改善する。
  4. 下肢の浮腫には起立台での起立練習が有効である。
  5. 病期分類ステージの症例では5-6METs の運動が適応となる。

この問題の答えは【2】になります。透析後は疲労度が高いので透析前に行うことが多いです。他の選択肢ですが、運動療法により腎血流は減少します。また、それに伴い糸球体濾過量も減少します。よって1.3の選択肢は間違いです。下肢の浮腫がある際に起立台による起立練習をすると重力の影響により状態が悪化します。また、5の選択肢ですが、病気分類ステージ5では3-4METs程度の運動負荷量が適切だとされています。


過去問題 第50回(2015年)

次の文によりA,Bの問いに答えよ。
85 歳の男性。脳梗塞の既往がある。 2 、 3 か月前から食事中にむせることが多くなっていた。 3 日前から元気がなく、昨晩から発熱と意識障害とがみられたため救急搬送され気管挿管の上、入院となった。体温 38.0 °C、呼吸数 25/分、左胸部に肺胞呼吸音、右胸部に水泡音が聴取された。エックス線写真を別に示す。

理学療法士undefined国家試験undefined内科疾患

胸部レントゲン所見と問題文から症状を読み取り、後述の問題では排痰に関する対処法を答える二段階式の出題問題です。

A.この患者の症状が生じている原因として最も考えられるのはどれか。
  1. 気 胸
  2. 心不全
  3. 肺水腫
  4. 間質性肺炎
  5. 誤嚥性肺炎


この問題の答えは【5】になります。画像では右下肺部に異常影を認め、問題文の内容からは、脳梗塞の既往と食事中のむせ込み、右胸部に水泡音という点が注目されます。これを考慮すると誤嚥性肺炎のリスクが高い患者という事が読み取れます。他の選択肢の画像所見ですが、1の気胸では、透過性が低くなり肺がやや白みがかって撮影されます。2の心不全では、心臓が拡大し肺野の透過性が減ります。3の肺水腫では、両肺野の透過性が低下する。4の間質性肺炎では、肺にすりガラス様の影が出現し、呼吸音は捻髪音を認めます。

B.この患者の病変が生じている部位に痰が貯留している場合の排痰体位として最も適切なのはどれか。

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排痰に関する問題ですが、上記画像所見がわからないと完全に落としてしまう問題になります。まずは、画像所見を読み取れるようにしっかり勉強しましょう。


この問題の答えは【3】になります。先の画像問題で右肺下野を中心とした誤嚥性肺炎とわかれば楽に解けると思います。肺炎部からの喀痰について、重力を利用し気管支内に排出することをイメージすると、右肺下野を上にした左側臥位が望ましいと考える事ができます。他選択肢の体位ですが、1はS1領域の排痰体位。2はS3領域の排痰体位。4は左肺中部領域、5はS2領域の排痰体位になります。


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