高層マンションの上のほうの部屋だったら「日当たりは良いはず」と考える人が多いのではないでしょうか。それが南向きの部屋であればなおさら、晴れた日の昼間にはずっと日が差し込むイメージがあるかもしれません。
しかし、高層マンションやビルが林立し、日照の問題もあまり考慮されない商業地域などでは、とくに日照が欲しい冬場になると上のほうの階まで南側の建物の影に入ってしまうことが少なくありません。日差しがあまりいらない夏場には太陽が燦々と照りつけ、寒い冬場には十分な日当たりがないのです。
冬に日当たりを得られない高層マンションの中低層階の部屋を買うよりも、いっそのこと眺望の優れた上階の北向きの部屋を買うほうが良いのではないかと考える場合もあるでしょうね。
それでは何階までの部屋が日影になるのかは、南側に建つマンションやビルの高さと、そこまでの間隔とが分かればある程度の予測ができます。たとえば、購入を検討する高層マンションの南側に30メートル離れて、15階建ての別の高層マンションがあるとしましょう。便宜上、2つのマンションの階高はそれぞれ3メートルで、南側の高層マンションの高さが45メートルだとします。
一方、東京における冬至日(毎年12月21日または22日頃)の太陽南中高度は30.9度です。これらの数値を使って簡単な作図をしてみると、冬至日でも影にならないのは10階より上の部屋で、9階以下は一日中まったく日当たりが得られない可能性があると予測できるわけです。南側の高層マンションが同じく45メートルの高さで40メートル離れていれば、冬至日でもしっかりと日当たりがあるのは8階より上の部屋となります。
冬至日における太陽南中高度は、札幌市で約23度、那覇市で約40度といった幅があり、それぞれの都市の緯度によって異なりますが、これを知っておくと高層マンションだけでなく、一戸建て住宅を選ぶときにも役立つことがあるでしょう。自分が住む地域の南中高度はネットなどで調べることができます。
東京はおよそ30度ですから、三角定規のいちばん鋭い角と覚えておけば良いかもしれません。他の地域でも分度器があれば作図は簡単です。三角定規や分度器は、小学生以上の子どものいる家庭ならたいていあるでしょうし、家になければ100円ショップでも売っています。マンションや一戸建ての購入を検討する前にぜひ用意しておきたいものです。
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