【未来予期治療】「未来の健康」に関する意識調査を実施
今年の5月、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳がん予防のために両乳房を切除し、再建手術をしたことを公表し、マスコミを中心に大きな話題となりました。彼女は遺伝子検査を受け、将来乳がんになるリスクが87%もあるという結果を受け、この決断に踏み切ったといいます。こうした遺伝子検査のように“個人”に対して「未来の健康」を予測しオーダーメイドで診断や治療ができる「未来予期治療」が、今年の「All About アワード 国民の決断2013」にて、見事に一位となり、国民のみなさんにとっても関心が高い出来事であることがわかりました。そこで、株式会社オールアバウトが運営するマーケティング・チャネル「生活トレンド研究所」は、「未来の健康」に関するアンケート調査を実施。調査期間は2013年10月31日(木)~2013年11月6日(水)、1都3県在住の20~59歳の男女898名から有効回答を得た結果について解説させていただきます。
80.1%が「現在健康である」と回答。しかし、そのうち30.8%が「自分の健康に自信がない」
8割の人たちが、現在は健康と考えていますが、その一方で、自分の健康に自信がなく、実は健康じゃないのかもと感じている結果が出ました。(グラフ1、2)このギャップの理由には、以下が考えられます。
1.医療に関する知識が乏しいため、もしかして何かの病気にかかっているのかもしれないという漠然とした不安を抱えている
2.運動や食事といった生活習慣が乱れているのを自覚している
3.多忙でストレスフルな生活をしているので、いつかは病気にかかるであろうと推測している
4.元気だと思っていた知り合い、あるいは家族が病気で急に倒れてしまったというエピソードを耳にした
5.今は何も自覚症状はないが、自分の生活に余裕が無いため、自分の体調にまで気が回らない
52.6%が「5年後の健康」が、76.3%が「20年後の健康」が不安であると回答するも、将来の健康不安に対して「予防策」をとっているのは4人に1人
この結果(グラフ3,4)から、人生においての不安材料は、自分の健康問題であることがわかります。私たちの脳が一番不安に感じるときは、未来を予見できないときなので、それは、例えるなら、先の見えないトンネルを無我夢中で歩いているようなものだからです。もし、健康トラブルを未然に防ぐことができれば、自分のやりたいこと、人生設計に一筋の光を見出すことができるはずです。にもかかわらず、健康不安にたいして「予防策」をとっている人はわずかです。2011年度に病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた医療費の総額(国民医療費)が、前年度比1兆1,648億増(3.1%増)の38兆5,850億円だったそうです。これを日本の人口(1.2億人)で割ると、一人あたり約30万円/年となります。人生80年とすると、私たちの人生において平均約2,400万円が医療費でかかるという計算になります。このような事実を知っていれば、病気を予防することが必要だと、切実に、一人一人が感じるはずなのですが、なかなかこういった情報を知る機会がないのが現状です。
だから、健康不安に対する予防策を行わないのでしょう。医者の言うとおり、生活習慣を全て優等生で過ごすことが理想ですが、誘惑の多い現代社会ではそれは無理な話。しかし、「未来予期治療」が浸透し、せめて自分のなりやすい病気を予見することができれば、1つくらいなら生活習慣を整えることができると思う人も多くなることでしょう。一人一人が、自分の体質にあった健康リスクを知るということが、自分の先の人生を見通せることができ、生き方や人生観を加味して受け身ではなく主体的に医療を選んで「予防策」を講じていく、そういう決断ができるようになるでしょう。
将来自分がかかるかもしれない病気を一部発見可能な「遺伝子検査」について、24.2%が「受けたい」と回答。また、39.6%が「興味がある」ことが明らかに。
かつての日本人において医療とは、「先生にお任せします」に代表されるように受け身で臨むものでした。しかし、時代背景の変化とともに医療は発展を遂げており、大きく分けて4つの段階を変遷してきました。1:病気になってから治す(治療)
2:病巣を早期発見する
3:集団に対して予防を促す(メタボ、ロコモ)
そして4段階目が個人の健康不安要素を予想し、それに対して予防策を講じる「未来予期治療」であす。今回の結果(グラフ5,6)では、約4割の人達が興味をもってくれていますが、このような医療の考え方が浸透すれば、飛躍的に興味をもつ人達はもっと、増加してくることでしょう。