体重差を出す
他にも体格差という面では、体重差を出すという目的もあります。同じ体重でやるために階級制が設けられているのだから、体重差なんてあるわけないじゃあないかと思われますよね? しかし近代のボクシングでは試合の前日に計量をして規定の体重をクリアできれば、翌日試合というやり方をしています。この1日が大切なのです。
計量をクリアした時点から自分がリングに上がって試合をするまでの間に、体調を整えながら体重を戻します。ようするにリバウンドさせるのです。
トレーニングと食事管理で脂肪や筋肉などを削り落とし、最後には水分まで抜いて体重を落とした身体は、カラカラに乾いたスポンジのようなものです。そこに食べ物や水分を入れてやれば、みるみる吸収して体重は戻りはじめます。
シンプルに分かりやすい例として、2リットルのペットボトルの水を飲み干せば体重は約2キロ増えます。2リットルくらいなら、一般の方でも少し運動したあとなら飲み干せてしまうのではないでしょうか? なので計量をクリアした直後のカラカラのスポンジ状態になっているボクサーでしたら、簡単に飲み干してしまいます。そのあと食事をして空腹を満たし、翌日の試合で身体をしっかり動かすためのカロリーを摂ります。それによっても体重はふえますよね。しかしそこで暴飲暴食をして、翌日体調を崩してしまって試合で動けなくなってしまっては本末転倒です。それを注意しながら食事や水分を補給して、より多くリバウンドさせて体重差によるアドバンテージを得られるようにします。
ただし試合当日にも計量をおこなって、お互いの体重が離れすぎてしまわないように、一応戻ってもいいとされる上限は定められています。ただ私はその上限を上回ったからなにかしらの処罰を受けたという話は聞いたことはありませんが……。余談ですが私も減量の時は飲まず食わずで運動をするということをします。それによって3時間~4時間で約4キロほど落としたこともあります。ボクサーではありませんが、知り合いの格闘家は計量の当日に4キロ~5キロ落として計量をクリアし、その数時間後には同じだけか、それ以上体重をリバウンドさせているという選手もいました。
勝つための減量
勝つための減量
一般の方のダイエットでここまでやるのはあまりよくないかも知れません。しかしボクサーや格闘家は、その過酷な減量とともに試合に勝つために、スパーリングという実践練習をおこない、その削られた身体で試合をしてまた身体にダメージを受けて……と身体にはかなり悪いと思われますよね。逆にスパーリングや試合のような危険な行為がなければ、ボクサーの減量やトレーニングは身体づくりには本当にいいものだと私は思っています。