面接や筆記試験対策よりも、その仕事に必要な資質を磨こう
松 では、学生さんたちは試験に向けて、具体的にどんな対策をすればいのでしょうか。小 面接や筆記試験のことばかり考えて、実質的な“試験対策”ばかりする学生さんが多いのですが、やりたい仕事があるなら、その仕事に必要な資質を磨くことです。たとえば、テレビ局で番組を作りたい、ディレクターになりたい場合。ディレクターという仕事には、さまざまな仕事をする人たちを取りまとめるリーダーシップが必要です。それがわかったら、今度は日常レベルでリーダーシップを磨くのです。といっても、難しく考える必要はありません。仲間で遊ぶときに“言い出しっぺ”になってみたり、サークルの旅行で幹事をしてみたり、イベントを企画して大勢の人を集める経験をしたり。営業職につきたいなら、バイト先で“売上げを倍にする”という目標を立ててもいいでしょう。実際に私がカウンセリングしていた学生さんで、バイト先で担当している商品の売上げを3倍にした人もいます。模擬面接を何度もして自分を取り繕うことばかりに一生懸命になるよりも、ちゃんとした体験や経験があったほうが何倍もいいと思います。話し方が多少下手でも、説得力が生まれますからね。
松 私も面接のときは、どんな質問にも躊躇せず答えることに決めていました。たとえば「テレビ東京を動物にたとえると?」とか、「嫌いな芸能人は誰ですか?」とか、ちょっと答えにくい質問も出題されるんです。でも、きっと採用する側は、答える内容よりも瞬発力や対応力を求めているのではないかと思ったんです。
小 その瞬発力が今、バラエティで生かされているんですね(笑)。
松 いえいえ、まだまだです(笑)。
アナウンサーになりたければ、高校時代から努力が必要!?
松丸アナウンサーも、“集中体験”を経験していました(C)テレビ東京
小 おっしゃる通り。就活生は自分に自信がなく、自然体でいることが不安なので、どうしても「〇〇の大会で優勝しました」とか、「TOEICで○点とりました」というような“成功体験”ばかり語りたがるんです。でも、何かの試合で優勝しても、仕事には直接関係ありませんからね。正直、面接官は「ふーん、すごいね」で終わってしまうんです。それよりも、「こんなことのために、こんな努力をして、こんなことを感じました」という“集中体験”を語れる学生の方が何倍も魅力的に映ります。それに、成功している必要はないので、今すぐに取りかかれば、誰にでも“集中体験”は語れます。また、若いときは短期間でいくらでも自分を磨けるので、いろんなチャレンジをして“集中体験”のエピソードを増やしていってほしいと思います。
松 実は私、「アナウンサーになりたい」と思ってから、就職活動までの6年間を逆算して過ごしたんです。まずはアナウンサーの出身大学を調べて、その大学に入るための勉強をしました。大学に入ったら、アナウンス学校にも早めに行って……。それが正しかったのかどうかはわかりませんが……最近、当時の担任の先生にお会いしたとき、「松丸は、本当にできることはなんでもやったよな」と言われて(笑)。後悔だけはしたくなかったんです。
小 就活は、結局のところ人が人を選ぶものなので、まず魅力的な人間になることが大切。若者ががむしゃらに努力する姿は、大人にとってとても魅力的ですから。今頑張らない手はないと思います。
松 自分にない部分だからこそ、魅力的に見えるんですよね。採用試験も恋愛と同じなのかもしれません。今日は久しぶりに自分の就活を思い出しました。楽しいお話、ありがとうございました。
(文:大高志帆 写真:岩田直子)
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