大学を卒業しても就職できるとは限らない?

子どもが大学まで進学した場合、小さい頃からかけてきた教育費の累計は、進路にもよりますが1,000万~2,000万円程になります。しかし、大学を卒業しても全員が正規職員として就職できるわけではないという現実があることも知っておく必要があります(進学を除く)。

「(希望の)大学に入る」だけではなく、無事に卒業し、なおかつ安定的な職を得て初めて、教育費投資が報われる、と言えそうです。
 
大学卒業後の就労状況を見ていきましょう

大学卒業後の就労状況もチェック
 
 

データから見る大学卒業後の状況

文部科学省「学校基本調査」の中には、大学新卒者の「卒業後の状況」のデータが整理されています。2019年5月1日時点のデータで見てみましょう。

大学卒業後の状況(2019年5月1日、文部科学省「学校基本調査」より)
( )内は割合と前年比(↑=アップ、↓=ダウン)
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卒業者 57万2,639人(↑)
進学者 6万363人(10.5%↓)
就職者 44万6,794人(78.0%↑)
・うち正規の職員等     43万897人(75.2%↑)
・うち正規の職員等でない者 1万5,897人(2.7%↓)

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データ内の「就職者」は経常的な収入を得る仕事(自営業含む)に就いた人を指しています。この中には、「正規職員等」だけでなく、「正規の職員等でない者」も含まれます。

就職者に含まれる「正規の職員等でない者」は、雇用期間が1年以上の期間の定めがあって、なおかつ週の労働時間が40~30時間の契約社員や派遣社員を指しています。
 

大学院等への進学率は2010年をピークにダウン

まず、大学卒業者の大学院などへの進学率はゆるやかな上昇傾向でしたが、2010年3月卒業者の15.9%をピークに低下を続け、2019年は過去13年間で最も低い10.5%となっています。

一方で、就職率が落ち込んでいた時期は、就職浪人として大学院へ行っていた層もいましたが、ここ数年の就職率の改善のおかげか、反比例するかのように大学院等への進学率は下がっています。家庭の経済事情などを反映してのことかもしれませんが…。 
 

大学卒業後の就職率は過去22年間で最高に

大学卒業後の就職率は、2010年に68.4%→60.8%と急落したものの、その後は上昇し続け、2014年は69.8%と急落前の水準へ回復しました。

その後も上昇を続け、2019年は78.0%と過去22年間で最高となっています。少子化による人手不足が顕在化してきたためではないかとみられています。

ただし、この「就職者」の中には、前述のように契約社員や派遣社員など「非正規職員等」も含まれています。
 

大卒の12~13人に1人が就職も進学もしていない!?

就職率が過去22年間で最高をマークしているにも関わらず、その一方で、大学を卒業後も就職できていない学生もいます。

「一時的な仕事に就いた者」「進学も就職もしていない者」(「安定的な就職・進学をしていない者」と分類します)を合計すると約4.6万人となります。

就職・進学をしていない者
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一時的な仕事に就いた者【A】     8,165人(1.4%↓)
進学も就職もしていない者【B】 3万8,232人(6.6%↓)
【B】進学準備中、就職準備中、家事手伝い、青年海外協力隊、ボランティア

就職・進学をしていない者=【A】+【B】=4万6,397人(8.1%↓)

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就職率が右肩上がりに上昇していることから、「安定的な就職・進学をしていない者」の割合は右肩下がりになっています。割合では8.1%で、12~13人に1人です。
 

「正規の職員等でない者」も含めると9人に1人!?

「正規の職員等でない者」(1.6 万人)は「就職者」という分類になっているものの、正規の職員のような安定性はありません。

そのため、この数までをプラスして計算すると、「正規の職員以外」の数は6.2万人となり、割合は10.8%。昨年よりもやや低下はしていますが、約9人に1人は安定的な就職も進学もしていないことになります。

最近は、「就職率」から進学する大学や学部を選ぶ学生(親御さん?)も増えているようですが、それも致し方ないことかもしれません。
 

教育投資はハイリスク投資と心得たい

長年にわたって多額の教育費をかけてきても、「出口」の段階で就職に結びつかなかったり、大卒ニートになってしまうことがあると、親としては報われない気持ちになります。

約9人に1人が(進学をしているわけではないのに)安定的な就職ができていない現実を見ると、教育投資はすでに「ハイリスク投資」になっていると言えるかもしれません。教育費を青天井でかけることだけが、教育投資の成功への道ではない時代と言えそうです。

もちろん、その後、スポーツ選手や芸術家、投資家、起業、芸人やユーチューバーになって大きな成功を収める例もあるので、就職がすべてではないかもしれません。でも、モラトリアム期間を支える経済的余力は、親側にはないかもしれません。

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