大学を卒業しても就職できるとは限らない

子どもが大学まで進学した場合、小さい頃からかけてきた教育費の累計額は、進路などによっても異なりますが、1000万~2000万円程になります。しかし、大学を卒業しても全員が就職できるわけではない(大学院などへの進学を除く)という現実も知っておく必要があります。

*データは2020年5月1日時点のものであり、コロナ禍による影響が本格化する直前のものと考えられます。

「(希望の)大学に入る」だけではなく、入った大学を無事に卒業し、なおかつ安定的な職を得て初めて、教育費投資が報われるといえそうです。
 
大学卒業後の就労状況を見ていきましょう

大学卒業後の就労状況もチェック
 
 

データから見る大学卒業後の状況

文部科学省「学校基本調査」の中には、大学新卒者の「卒業後の状況」のデータも整理されています。まずは、2020年12月末に発表された、2020年5月1日時点のデータを見てみましょう。


大学卒業後の状況 ( )内は割合
―――――――――――――――――――――――――
・卒業者 57万3,947人
・進学者 6万4,627人(11.3%)
・就職者 44万6,082人(77.7%)
就職者=自営業者や無期雇用労働者
、雇用契約期間が1年以上、かつフルタイム勤務相当の有期雇用労働者
―――――――――――――――――――――――――
(文部科学省「学校基本調査」より)

就職者には、自営業者、無期雇用労働者、雇用契約期間が1年以上、かつフルタイム勤務相当の有期雇用労働者が含まれます。
 

大学院等への進学率は2010年から右肩下がり

大学卒業者の大学院などへの進学率は、かつてはゆるやかな上昇傾向でしたが、2010年3月の15.9%をピークに低下が続いています。2020年は過去11年間で最も低い11.3%となっています。

進学者のうち、一部には、就職が厳しい時期を避ける目的で進学する学生もいるようですが、近年の就職率の改善もあって下げたとも考えられます。あるいは、家庭の経済状況の厳しさを反映したものといえるかもしれません。

コロナ禍の影響が大学卒業者の進学率・就職率にどう表れるかについては、次年度のデータを見ないとわかりません。 
 
 

大学卒業後の就職率は2019年よりダウン

大学卒業後の就職率は、2010年以降は上昇し続け、2019年は78.0%と過去23年間で最高となりました。2020年はコロナ禍の影響もあり、77.7%と若干下がっています。

この「就職者」の中には、前述のように、自営業者、無期雇用労働者のほか、雇用契約期間が1年以上でフルタイム勤務相当の有期雇用労働者も含まれます。

 

大卒の12人に1人が進学も安定的な就職もしていない!?

一方で、大学を卒業後、進学も安定的な就職もしていない学生もいます。

「有期雇用労働者のうち雇用契約期間が1年未満の者」や「臨時労働者」、「進学も就職もしていない者」を合計すると、約5.0万人となります。割合ではおおよそ12人に1人と見ることができます。

進学も安定的な就職もしていない者
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・有期雇用労働者のうち雇用契約期間が1年未満の者 5,935人(1.0%)a
・臨時労働者   2,849人(0.5%)b
・進学も就職もしていない者 4万809人(7.1%)c
進学も就職もしていない者=進学準備中、就職準備中、家事手伝いなど

進学も安定的な就職もしていない者=a+b+c=4万9,593人(8.6%)

―――――――――――――――――――――――――――――
(文部科学省「学校基本調査」より)

今回からデータの表示内容が変わり、有期雇用労働者のうち1年以上の契約の者も「就職者」として合算され、内訳が把握できなくなりました。
 

教育投資はハイリスク?

長年にわたって多額の教育費をかけても、12人に1人が進学も安定的な就職もしていないという現実があります。教育投資は「ハイリスク投資」であり、青天井で教育資金をかけることだけが、成功への道ではないといえそうです。

中長期的に起業・開業や、芸人・ユーチューバーなどで成功を収める例もあるため、就職がすべてではないかもしれません。ただし、子のモラトリアム期間を支える経済的余力は、親側にはなくなっているかもしれません。
 

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