雲南の魅力は豊かな自然と少数民族
雲南省は中国の西南部に位置しており、ミャンマー、ベトナム、ラオスと国境を接しています。面積は39万平方メートル。日本とほぼ同じ大きさです。人口は約4500万人で、うち3割が少数民族となっています。日本と比べてずいぶん南に位置していますが、高地が多いことから気候は温暖で、夏は涼しく、冬もそれほど寒くありません。豊かな自然に囲まれ、草花をはじめ多様な生物であふれています。
雲南省には、省内の広範な地域に住むイ族、大理に多く住む白(ペー)族、省南部の紅河に多く住むハニ族、シーサンパンナに多く住むタイ族、省南部に多く住むチワン族、麗江に多く住むナシ族など、全部で25の少数民族が暮らしています。
省都・昆明地域
少数民族の比率が高い雲南省は、他の中国地域では味わえない独特な雰囲気があります。気候が温暖なことが関係しているのでしょうか、省都である昆明ですら人々はおっとりとして素朴。店や住宅のインテリアを見ると、少数民族や東南アジアのテイストを取り入れるところが少なくありません。雲南省の各地域の味を売りにするレストランもいたるところにあります。昆明の近郊には世界遺産の石林(2007年、自然遺産)があり、温泉地として有名な安寧があります。また昆明東南には、世界遺産の澄江化石埋蔵地(2012年、自然遺産)もあります。
西北部地域
昆明の北西には、雲南省を代表する観光地である大理と麗江、そしてシャングリラ(香格里拉)があります。ペー族が多く住む大理には、南詔国時代の都「古城」が残されており、その西側には美しい蒼山が、東側には巨大な湖であるジ(さんずいに耳)海があります。麗江は、大理をさらに北西に進んだ場所にあります。ナシ族の住む麗江の一番の見どころは、世界遺産にも登録された麗江古城(1997年、文化遺産)でしょう。古城には商店も多く、ナシ族の象形文字「トンパ文字」を使った土産物が売られたりしています。また名峰として名高い玉龍雪山があり、古城からも見ることができます。
麗江を北上すると、シャングリラに到達します。シャングリラはチベット族が多く住み、チベット寺院が目立ちます。標高3,000メートルを超す高地にあることから、雲南省では珍しく冬は寒くなります。そのかわり自然は美しく、特に夏場には美しい花が咲き乱れます。
また、世界遺産である三江併流(2003年、自然遺産)があるのもこの地の魅力のひとつです。三江とは金沙江(長江)、瀾滄江(メコン川)、怒江(サルウィン川)を指し、これらが並行するように流れています。
南部地域
雲南省南部で最も有名な観光地はシーサンパンナ(西双版納)でしょう。それ以外では、世界遺産になった元陽の棚田(2013年、文化遺産)が有名です。タイ族が多く住むシーサンパンナは、ほぼ一年中暑く、南国そのもの。4月に行われる水かけ祭りが有名です。また自然が豊かで、象や孔雀など野生動物が多く生息しています。タイ族はタイ人のルーツと言われているだけに、タイ風寺院が多くあるのも特徴です。
元陽の棚田は、平地に田んぼを作ることができなかったハニ族の農民が、山地の地形に沿って作ったのが始まりです。朝日が棚田に反射する光景が素晴らしいことから、多くの写真家が訪れています。
国境地域
他にも雲南省には、ミャンマーと国境を接し、温泉で有名な騰沖や、同じくミャンマーと国境を接する瑞麗などの有名観光地があります。観光地ではありませんが、ベトナムと国境を接する河口も、国境ならではの怪しい雰囲気が魅力的です。これらの街は、隣国の風情が濃厚なところが面白く、雲南だけでなく隣国の雰囲気も味わえる、一挙両得の観光地となっています。