希少な生物の宝庫、雲南省

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稀産種が数多く生息すると言われる「梅里雪山」は標高6000メートル以上。人気観光地の1つである香格里拉(シャングリラ)から約190キロに位置する。香格里拉から毎日バスが出ている。生物を見るなら夏場がおすすめ。

低地も高地もある複雑な地形から、多様な自然に恵まれている雲南省。雲南の生物相は、あるものは日本の生物と深い関連を持っていたり、東南アジアとの繋がりがある熱帯性の種だったり、チベットやシベリアなど寒い地方を起源とする種だったり、ヒマラヤ山脈を経て西アジアやヨーロッパと関連性があったり……さまざまな要素が入り組んで成り立っています。雲南が「世界の生物のふるさとの地」と呼ばれるゆえんです。この記事では、特筆すべき生物・植物をご紹介しましょう。いずれも省都昆明ではあまり見かけることはないので、少し郊外に足を伸ばす必要があります。

蝶の稀産種「アキマドアサギマダラ」

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梅里雪山の周辺だけに生息すると言う「アキマドアサギマダラ」。

雲南の豊かな自然を紹介するうえで、もうひとつ重大なことは、この地方にだけ分布し、世界のどこにも兄弟姉妹が存在しない種がいることです。雲南省徳欽県東北部に「梅里雪山」という山がありますが、そこに「明永氷河」という名の氷河があります。その小さな水溜りに吸水に訪れる蝶の中で、究極の稀産種が、このアキマドアサギマダラ。全く別の仲間のアサギマダラそっくりに擬態した、ミスジチョウの仲間です。梅里雪山の周辺だけに棲み、標本も世界に数頭しか知られていないそうです。

日本人に親しまれている植物「レンゲソウ」

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蒙自(雲南省南部の紅河自治州。昆明から高速バスで約5時間)、金平(紅河自治州。ベトナムとの国境である「河口」のそば。昆明から高速バスで約7時間)、緑春(紅河自治州。金平の隣に位置する)などで生息する野生の「ゲンゲ」。

レンゲソウ(ゲンゲ)畑は、日本の春の風物詩です。この花が中国から渡ってきた、ということは、多くの人が知っているとおりです。では、野生のレンゲソウは、中国のどこに行けば出会えるのでしょうか? 実は、その答えは出ていないのです。中国では野生の植物の実態が、よく分かっていません。

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有名観光地である大理や、温泉地で有名な騰沖(雲南省南西部、昆明から飛行機で約1時間)に生息する純白の「ゲンゲ」。

しかし日本のレンゲソウに最も血縁関係が近いと思われる集団が雲南に少なくとも2つあります。日本のレンゲソウは赤い部分に、白い部分が混じっています。雲南南部の、蒙自、金平、緑春などで見られる野生のレンゲソウは、濃いピンクの花、ピンクは花の全体を覆い、日本のレンゲソウのように白い部分は混じっていません。一方、大理や騰沖で生息する野生のレンゲソウは純白。日本でもごくたまに白いレンゲソウが見つかりますが、この地域のものは白一色でした。

 

東南アジアの蝶「アオスソビキアゲハ」

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南国の蝶「アオスソビキアゲハ」も雲南に生息する。

前述の通り、雲南に棲む生物は様々なアイデンティティを持っています。アオスソビキアゲハは、東南アジアに広く分布する南国の種ですが、雲南にもしっかり生息しています。画像は、雲南省保山市(大理からバスで約3時間)の西側にある名山「高黎貢山」で撮影されたものです。(協力:青山潤三)
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