歌は世につれ 世は歌につれ
音楽とファッションは切り離せない。ロックンロールなら革ジャン、アングラならベルボトム、演歌なら着流しという具合に。そして、発祥ははるか昔であっても、今なお存続している音楽ならばそのファッションを供給している者が必ずいる。神戸を代表するビンテージショップ『haberdashery』
僕にとって神戸のhaberdashery(ハバダッシェリー)はそういうお店の一つだ。ハバダッシェリー店内
haberdasheryは神戸を代表するビンテージショップで、今では貴重な1920年代~1970年代の服、アクセサリーを豊富にそろえながらも形にとらわれることなく常に新鮮なコーディネートを提示して、関西の幅広いお洒落っ子たちに愛されている……わけだがやっぱり特定の年代や様式にコテコテに染まった人にとっても有難い存在であることは確実で、とりわけロカビリー、スイングジャズ、R&B~ソウルのシーンではかなりの割合でファンがいるのだ。
haberdashery開店20周年イベント
2013年10月12日、そのhaberdasheryが開店20周年のイベントを開催した。フライヤー
会場は昔のキャバレーを転用した豪奢な内装で知られる『クラブ月世界』。1930年代から1970年代までの各年代をテーマにしたファッションショーと、関西が世界にほこるジャズ&ロカビリーシンガー『チャーリーニーシオ』率いるフジヤマチャロルの生ライブとこれまた豪華な内容だった。
チャーリーニーシオ・フジヤマチャロルのライブ
まずスタートとともにライブ。熟達した深みのあるサウンドで繰り広げられる『Just a Gigolo』、『Just Like Romeo & Juliet』など数々のスタンダード&スイングナンバー。フロアはあっという間にダンスの渦の中だ。踊るならスイング!リンディーホップ!
このムードは月世界ならでは
チャーリーさんの魅力はその歌唱力や英語発音の確かさももちろんだが、単なるジャズ屋の仕事に終わらず確固としたオリジナル性を持っていること。
ジャズやロカビリーの世界では海外作品のコピー、模倣に重きを置くミュージシャンがいまだに多いのだが、チャーリーさんはそれが可能なステージであれば必ず日本語で、自分の言葉で綴られたオリジナルナンバーを歌う。
チャーリーニーシオ
『カクテル』『Blessing』『ライフイズGOOD』(ぼんちおさむに提供)など、この界隈のイベントが好きなら一度は耳にしたことがある名曲が盛りだくさんだ。
濃厚なジャンル音楽としても、ポップスとしても楽しめる懐の深さがある、と言えばわかりやすいだろうか。
僕は2006年から3年間ほど、チャーリーさんと一緒にイベントを企画したりダンスを教えてもらったり週2日は会ってるんじゃないかという時期があったのだが、その頃の言葉で印象的なものがある。
『僕はジャズやロカビリーをやってるんじゃない。自分の音楽をやってるんだ。そうでなきゃ今までやれてないよ。』
しばらくぶりのツーショット
年代ファッションショー
フロアの人々が踊り疲れた頃合いでお次はファッションショー。さっきまで歌っていたチャーリーさんらによる1930年代スタイルを皮切りに続々と各年代のモデルがランウェイを踊り、駆け巡る。
ファッションの移り変わりとともにスイングジャズ、ロカビリー、ディスコとBGMも移り変わってゆく。
娯楽が盛んな時代なら遊ぶためのファッション、戦争の時代ならその影響をうけたファッション、人種や階級を反映したファッションもある。音楽だけ、ファッションだけ単品で見ているとついつい忘れてしまうけど、カルチャーは常にその時代を映す鏡のようなものなのだと気づかされた。
そして、21世紀の現代に流行してるファッションや音楽は何を反映しているんだろうかなぁなどと思いにふけりつつ。
haberdasheryよ永遠に
スタッフ勢揃いでご挨拶
〆は山本オーナーらスタッフの皆さんによるご挨拶。
歴代の旧スタッフや長らくのお客さんも大勢来ていたので、会場は泣き出す人、抱き合う人が続出の感激の嵐。
僕自身、18歳の頃からお店に出入りしていたし、スタッフと友達になったり友達がスタッフになったりと色々思い出があるので感慨深かった。また蝶ネクタイ買いに行こう。
山本オーナー、いつまでもお元気で! そしてhaberdasheryよ永遠に!