投資信託/NISA(日本版ISA)とは?その活用法

投資信託の歴史から紐解くNISA導入の背景

10月も半ばに差し掛かり、来年1月に制度開始を迎えるNISA(ニーサ=日本版ISA)の関連情報も増えてきました。今回は、日本における投資信託の歴史を振り返りながら、NISA導入の背景を紐解いてみます。

篠田 尚子

執筆者:篠田 尚子

投資信託ガイド

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意外と長い?国内投資信託の歴史

60年以上の歴史を誇る国内投信市場

60年以上の歴史を誇る国内投信市場

投資信託が日本で最初に誕生したのは今からちょうど62年前の1951年。証券投資信託法が制定され、当時の野村、大和、日興、山一の4大証券が国内株式ファンドの販売を開始したところまでさかのぼります。

元本保証のないリスク商品という特性上、投資信託の販売は長い間証券会社に限定されてきました。しかし、バブルの崩壊をきっかけに打ち出された金融ビッグバン構想の一角として98年に銀行窓口での取扱いが開始されると、次第にリスク性の金融商品になじみの薄かった投資家層にも投資信託が浸透していきました。

05年には当時の日本郵政公社(現在のゆうちょ銀行)で取扱いが開始されたほか、地方銀行における取扱いの拡充も相まって、順調に残高を積み上げてきました。

規制緩和によりラインアップはバラエティ豊かに

運用面における規制緩和も、投資信託の残高の積み上げに大きく貢献しました。

投資信託に組み入れることができる資産は、1950年代には国内株式に限定されていました。その後60年代には国内債券、70年代には外国証券まで拡大され、さらに為替変動リスク低減のための先物予約も行えるようになりました。また、95年にはデリバティブの利用が認められるようになり、投資信託の中で元本の何倍もの資金を運用することが可能となりました。

現在人気を博しているリート(不動産投資信託)に投資を行うファンドも、03年の規制緩和を経て誕生が実現したものです。

かれこれ10年近く続いた証券優遇税制

こうした流れの中で、日本では少子高齢化が進み、個人の資産形成において自助努力が求められるようになりました。さらに、バブル崩壊後の株価の低迷と、ゼロ金利政策の影響もあり、預貯金だけではなかなか資産を殖やしにくくなってしまいました。

「貯蓄から投資へ」を後押しすべく、政府は04年4月より株式投信の売却益と分配金にかかる税率を10%に軽減することとしました(従来は20%)。これがいわゆる証券優遇税制です。2度に渡って延長がなされてきた証券優遇税制ですが、今年の年末もって遂に終わりを迎えることとなり、代わりにNISAの導入が決まったのです。

NISAは金融機関独自のサービスではない!

投資信託を保有している方の中には、10%という税率が当たり前になっている方も多いでしょう。また、NISAについても、金融機関が独自に展開しているサービスと勘違いされている方が多いようです。優遇措置によって長年にわたり軽減税率が適用されていたという事実と、証券優遇税制の終了に伴うNISAの導入は密接に関係しています。

現在保有している投資信託をそのままNISA口座へ移すことは制度上できませんので、今回の税制改正を機に、保有投信の利益確定や見直しを考えていただきたいと思います。

国内投信市場の歴史

国内投信市場の歴史



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