ヒスタミンの影響は?
カツオなどの赤身魚は、白身魚よりもヒスチジン含有量が多いされています。
一般的には、食品のヒスタミン量が100mg/100g(1000 ppm)以上の場合に発症するとされていますが、実際には、どれくらい摂食したか、感受性の違い等の個人差、魚などでは部位などによっても含量が異なり、いくつかの環境因子も関わっているとも考えられ、まだまだ明らかになっていない点が多いようです。
過去のヒスタミン食中毒事例をもとに食品中のヒスタミン濃度とおおよその喫食量に基づいたヒスタミンの中毒量は22~370mgと報告されており、前者の推定と合わせて考慮すると食品中のヒスタミン濃度が10~20mg/100gのレベルを超えると食中毒が誘発される可能性が生じるとされています。
国内でのヒスタミンの規制は、今後の課題
欧州、米国、カナダ、オーストラリア・ニュージーランドなどでも、魚類やその加工品中のヒスタミン濃度の基準を設定しています。しかし日本では、食品中やまた飼料においても、ヒスタミン濃度の基準は設定されていません。なぜないのかという点について、厚生労働省に問い合わせしてみました。世界基準のコーデックス委員会では、遊離ヒスチジン含量が高い魚種の缶詰等に対してはヒスタミン濃度の基準を設定していますが、まだ議論の段階です。
もちろんヒスタミンの規制値については、国内でも課題と受け止めているのですが、魚などに関していえば、1匹の魚でも部位により異なったり、同じ処理をした魚でもすべてが同様にはヒスタミンが検出されないのでどのようにサンプリングすれば安全を確保できるのかなど、まだまだ不明確な要素が多いそうです。
今の段階で基準値を設けてもリスクが高いこと、またコーデックスの科学的知見を待っているいうことでした。現在は、食品衛生法に基づいて、各都道府県により水産関係の事業者や、食品・飲食店等の監視指導が実施され、農林水産省でも実態調査などを行っています。
家庭でヒスタミン食中毒を予防するには
ヒスタミンは熱に安定であることから、一度生成されると加熱調理された食品であっても食中毒が発生する可能性はあります。私たちの生活上では、次のようなことに気をつけましょう。- 魚を保存する場合は、速やかに冷蔵・冷凍する。常温で放置しないこと。冷凍中は増えませんが、解凍すると酵素の作用により増えるので、解凍等を行うときは5℃未満の冷蔵庫内で行い、使う分だけ解凍し、解凍後は速やかに調理すること。
- 一旦解凍した魚などは再冷凍しないこと。
- 鮮度が低下した恐れのある魚は食べないこと。
- ヒスタミンが高濃度に蓄積されている食品を口に入れたときに唇や舌先に通常と異なる刺激を感じる場合があるので、その場合は食べずに処分すること。
近年は、秋も日中の温度が高い日もあるので、キッチンで放置しておくことがないように気をつけましょう。
参考/
・ヒスタミン概要 ファクトシート(食品安全委員会)
・ヒスタミンによる食中毒について(食品安全委員会)
・ヒスタミンについて(JFRLニュース Vol.4 No.2 Oct. 2011 )
・ヒスタミンによる食中毒(一般財団法人 東京顕微鏡院 食と環境の科学センター)
・ヒスタミン食中毒防止マニュアル(社団法人 大日本水産会)
その他