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新規設定が急増しているバンクローンファンド

投資信託の新規設定では毎年のように新たなテーマや投資対象、あるいは人気になる通貨などが変わります。2013年度上期は、通貨選択型の選択通貨が変わった以外は明確な傾向が出ていませんでしたが、下期はバンクローンファンドが脚光を浴びるかもしれません。新規設定が増えているバンクローンファンドを探ってみることにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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そもそもバンクローンとは

バンクローンとは

バンクローンとは

三菱UFJ投信、新光投信、三井住友アセットマネジメント、三井住友トラスト・アセットマネジメント、マニュライフ・インベストメンツ・ジャパンの5社がバンクローンファンドを相次いで新規設定しています。同一の投資対象で5社がほぼ同時期から運用を開始するのは、珍しい状況といえそうです。

「バンクローン」とは、やや聞き慣れない言葉かもしれませんが、銀行などの金融機関が事業を拡大するために資金を必要としている企業に対して行う融資(ローン)のことです。そのまま訳しているだけと怒られてしまいそうですが、私たちが思い浮かべる企業融資と異なり、主に非投資適格(BB格相当以下)の格付けを有する企業への融資なのです。

非投資適格(信用力の低い)への企業融資であることから、資産を担保に取り(有担保)保全を計っており、融資は変動金利となっているところに特徴があります。

バンクローンの魅力

バンクローンの魅力を大別すると3つのポイントに分けることができます。

1. 相対的に高い利回りが期待できる

依然として日米欧の先進国は、景気回復の回復を本格化させるために積極的な金融緩和を続けていることから、国債などの公共債などに投資を行ったとしても高い利回りは期待できません。バンクローンは、相対的に信用力が低い非投資適格の企業に対する貸付債権であるため、投資適格債券(BBB格相当以上)などと比較すると、信用リスクが高い分、相対的に高い利回りを期待することができます。

2. 貸付債権の回収率は高い
バンクローンは非投資適格企業への貸付債権ですが、一般的な債券などと比較して、債務不履行(デフォルト)後の資金回収率は高くなっています。企業が破綻した場合、残余財産を受け取る優先順位(弁済順位)が一般的な社債よりも高いこと、融資は無担保ではなく、有担保で行われるため、企業が破綻した場合に、担保を処分して資金回収にあてることができるからです。

3. 貸付金利は変動金利
一般的な債券の利率は固定金利ですが、バンクローンの利率は一定期間ごとに金利が見直される変動金利で貸付が行われています。変動金利の資産(貸付)は、固定金利の債券など比較すると、金利の上昇・下落という変動による価格変動リスクは小さいという特徴があります。

投資の考え方

先進諸国の金融緩和政策導入の効果は既に現れ始めており、米国では2013年内に金融緩和の縮小が始まるとの予測も出始めています。再び金融不安などが拡がり、景気の回復が後戻りする可能性も全くないとは言えませんが、各国が景気回復のために英知を尽くし続ける限りは、さらに金利が大幅に低下していくよりも、いずれかの時点で金利は上昇していくことが考えられます。

金利の上昇はいつからと予測するのは難しいですが、少なくとも固定金利の債券が優位であった局面は終了に向かいつつあり、変動金利の債券(資産)が優位になる局面に徐々に転換していくと予測されます。

既に債券を保有している人は資産(アセット)クラスにバンクローンを加えて、債券という資産クラス全体の価格変動のリスクを抑えることになると考えられます。あるいは、分散投資というスタイルを外れて、余裕資金でトレンドに合わせた資産クラスを選択する1つにバンクローンを活用する手もあるといえそうです。
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