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『そして父になる』と是枝裕和の世界(3ページ目)

『そして父になる』でカンヌ国際映画審査員賞を受賞。この映画が、アメリカでリメイクされることも決まった是枝監督の作品を特集。人間の本質に、手触りは優しく、でも実は鋭く切り込んでいく是枝ワールド。その作品を改めて見てみましょう!

斎藤 香

執筆者:斎藤 香

映画ガイド

現実と異空間を行き来するファンタジー作品


『ワンダフルライフ』(1999年度作品)

亡くなった人々が天国の一歩手前で自分の思い出を語り、それを映像にしてもらえる場所があります。そこで死者たちは人生を思い返し、自分にとってのかけがえのない時間を選んでいくのです……。死者を扱いながらも、ドキュメンタリーのように出演者に思い出を語らせる演出が斬新であり、是枝監督らしさでもあり。この映画を見ると、思わず自分の人生でいちばんの思い出とは……と考えてしまう。死の扉を開けたら戻っては来られないけれど、素晴らしい思い出をもう一度見せてもらえたら、その思い出を胸に永遠の眠りについてもいいかも……と思わせます。ARATA(井浦新)、伊勢谷友介のデビュー作。

監督: 是枝裕和
出演: ARATA、小田エリカ、寺島進、内藤剛志、谷啓、伊勢谷友介、由利徹、横山あきお、原ひさ子、白川和子、吉野紗香、志賀廣太郎、内藤武敏、香川京子、山口美也子、木村多江、平岩友美、石堂夏央、阿部サダヲほか



『空気人形』(2009年度作品)


孤独なファミレス店員の男(板尾創路)が毎夜語りかける空気人形ラブドール(ペ・ドゥナ)が、ある日心を持ち、動きだし、恋をするというラブファンタジー。赤ん坊のように様々な物に興味を抱き、触れて、驚いて、やがて人間のような生活を望むようになる空気人形。しかし、無垢ゆえにおこる悲劇が切ない。空気人形から見る人間たちのどこかいびつで寂しい姿にも何気に胸が痛くなります。原作は業田良家の同名コミック。是枝監督にしては珍しくコミック原作の映画化で、かつ、ちょっとエロティック。韓国の人気女優ペ・ドゥナの熱演にも注目です。

監督: 是枝裕和
出演: ペ・ドゥナ、ARATA、板尾創路、高橋昌也、余貴美子、岩松了、星野真里、丸山智己ほか

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