男の子の赤ちゃん誕生!「男の子育児は女の子に比べて大変」って本当?
男の子の育児って本当に女の子と比べて大変なの?
待望の赤ちゃんを授かるも性別が男の子と判明すると、「男の子は女の子に比べて大変なの!?」と不安に思ってしまう理由はどこにあるのでしょうか。私も男の子4人と女の子1人の子育ての真っ只中で、「男の子と女の子の違いとは」を考えることがよくあります。お母さんたちからよく出るお話をもとに、男の赤ちゃんの特徴について考えてみます。
<目次>
- 女の子との違い…男の子は身体が弱い?
- 女の子との違い…男の子は発達が遅い?
- なぜ男の子は車や電車が好き?
- 男の子か女の子かの違いより、個性や環境が大きな影響
- 男の子は、いずれ親から離れていく!?
- 男の子は可愛くて甘えん坊?
- 「男の子は大変」という性別にとらわれず、育児を楽しみましょう
女の子との違い……男の子は身体が弱い?
特に乳幼児期の子どもに対し、「男の子は病気をしやすい」といわれることがあります。子どもに限らず、「女性の方が男性より丈夫だ」とといわれるもよくあります。これは、女性の方が男性よりも寿命が長いこと、妊娠・出産という命がけの大仕事を乗り越えられることなどからくるイメージが大きいようです。実際、厚生労働省による日本人の寿命や余命に関する最新の調査では、女性の方が男性よりも寿命が長いというデータが出ています。女性の方が男性より寿命が長い根拠としては、一般的に、女性の方が環境の変化への適応力が高いこと、男性よりも少ない代謝で効率よく生活できること、男性はどうしても、組織の中でのストレスやプレッシャーにさらされる環境にいることが多いことなどが挙げられています。
同省の乳幼児死亡率に関する調査でも、長年、女子よりも男子の死亡率が高い傾向にあります。男の子の方が女の子より胎児期に大きくなる傾向があり、母体への出産時の負担やトラブルも多くなりがちだそうです。しかし、周産期医療の発達した現代では、その差は縮まっています。また、男の子は代謝が活発なことや、出生時の肺の機能の成熟が女の子と比べて平均的に遅れがちであることも、幼いころの男の子の「弱さ」につながっているそうですが、同じ男の子でも、1人目の赤ちゃんと2人目以降の赤ちゃんの場合では、「下の子は上の子に比べて丈夫」という話もよくあることです。2人目以降の赤ちゃんの方が、親もあまり神経質にならないことや、早い段階から外に出てたくさんの人に触れる中で、自然に免疫力や抵抗力を高めていることも影響していると考えられます。
女の子との違い……男の子は発達が遅い?
言葉が出る前の段階の「指差し」の動作や、言葉の出方、単語の獲得については、実際、女の子の方が男の子より平均的に数週間早く出る傾向もあるそうですが、全体的に見ると、ほとんど差はないようです。言葉の出方には、性別よりも、やはり出生後から単語が出始めるまでに、どれだけたくさんの言葉のシャワーを浴びたかが大きく影響します。また「下の子は言葉が早い」というケースもあれば、そうでないケースも。単に周りに話す人がたくさんいるというだけでなく、その子に向かってたくさんの声がけがされ、反応に対して応答がある、という経験の積み重ねによって、言葉は獲得されていきます。
1歳代で単語が次々出て、2歳前後でおしゃべりが始まる女の子がいたりすると、「やっぱり、女の子は言葉が早いから」と言われます。逆に、男の子でも言葉の出方の早い子はたくさんいますが、そこで「男の子なのに言葉が早いのね」と言う人はいませんね。「女性は口達者」というイメージも大きいのかもしれません。
運動能力に関しても、科学的にも男女の発達差はないとされています。それは、周りを見ても男女や体格に限らず、それぞれの赤ちゃんのペースで運動能力を獲得していく様子から見ても明らかなようです。
「女の子の方が発達が早い」ということが言われる背景には、周りの無意識のうちの男の子への期待値が高いことも影響しているようです。女の赤ちゃんの場合は、多少小さめに生まれても、「女の子だから、小さめでもかわいいし」「のんびりでいいわ」となるところが、男の子に対しては、「男の子なのにあまり食べなくて」「将来の運動能力と関係あるのかな」という思いになることも。早生まれのお子さんが幼稚園や小学校に入った時の他の子との成長の差の不安も、男の子に対しての方が断然多く聞かれます。期待と実際のギャップが、「早い」「遅い」の印象を生むこともあります。
なぜ男の子は車や電車が好き?
男の子が車や電車が好きなのには理由がある
これは、赤ちゃんがおなかの中にいる時に浴びたホルモンによって、「男の子らしい行動を多く示す男脳」や「女の子らしい行動をよく示す女脳」が作られ、出生後の行動に影響を及ぼすというものです。しかし、「男脳」「女脳」と、男子と女子の遊びの好みの違いの関連性は、明確に証明されているわけではありません。
ガラガラや、ぬいぐるみや、音の出るおもちゃ……。0歳代の赤ちゃんが興味を示すおもちゃの対象に男女の差がないのは、子育て中の方々も実感できることだと思います。それがなぜか男の子はいずれ車や電車に興味を持ち出します。それは、無意識のうちに「自分が男か女か」ということを認識し始めたことによるという説もあります。
さらに、子どもが小さいころの遊びの傾向は、周囲の働きかけによる影響が非常に大きいのではないでしょうか。ミニカーや電車のおもちゃで遊ぶのが好きな男の子でも、ままごとも楽しんでいるでしょう。しかし、お母さんやお父さん、その他周囲の人から見れば「やっぱり男の子は乗り物好き」という部分がクローズアップされます。ミニカーや電車のおもちゃに興味を持ち出した男の子を連れ、街中で走る車を見て「ほら、ブーブーだよ!」と言ったり、線路脇に連れて行って「ガタンゴトン、電車だよ!」と語りかけたりすることも少なくないでしょう。普段なかなか会えないおじいちゃんやおばあちゃんから贈られるプレゼントも、男の子にままごとセットを贈る人よりも、車や電車のおもちゃを贈る人の方がほとんどではないでしょうか!?
やはりここでもどこかで、「男の子だかからこういう遊びが好きだろう」「男の子にはこんな遊びをしてほしいな」という周囲の無意識のうちの働きかけがあります。そして、子どもの中にも、「自分は男の子だ」という無意識のうちの意識が、明確なものとして育っていくのかもしれません。
男の子か女の子かの違いより、個性や環境が大きな影響
男の子か女の子かで周りの働きかけが少しずつ異なることは、積み重なれば大きな傾向の変化になり、その子の好みや性格を形成する上での1つの要因にはなりえます。しかし、もっともっとたくさんの環境要因があります。初めての赤ちゃんだったら、男女に限らず育児の大変さを大きく感じる人がほとんどでしょうが、最初の子も2人目の子も男の子でも、2人目は楽という人もたくさんいます。兄弟構成、家族構成、親の性格、育つ土地や環境……。そういった要因の方が、男の子か女の子かというよりも、その子の育ちに影響してくることが、次第に実感されてくると思います。男の子は、いずれ親から離れていく!?
もう1つ、お母さんたちからよく耳にするのが、「女の子は大きくなっても一緒に買い物を楽しむこともできるし、老後に世話をしてくれるのは女の子」というお話。これは、男の子・女の子の違いに対して、結構広い範囲でとらえられているイメージのようです。確かに、母娘で「かわいいもの」に対する共通の趣味を持ち、成長とともに一緒に買い物を楽しんだり、一緒に洋服を買うことを楽しんだりするような機会はあるでしょう。しかし、「老後に世話をしてくれるのは女の子」というのは、いささか疑問です。男性と女性で就く職業に差がなくなってきて、子どもが生まれても仕事を続けようという女性が増える中で、男女問わず、子どもに面倒を見てもらうことを期待することは、非常に不確定な将来です。確かに、育児も介護も、まだまだ女性が大きな負担を負う部分が大きい分野ですが、これからは、その負担を男女で分かち合っていかなければならないものです。
男の子は可愛くて甘えん坊?
男の子と女の子に、生まれ持った違いはあるものの、環境的な要因も大きく基本的な差はないということをお伝えしてきましたが、「男の子は甘えん坊?」という部分は、そういう傾向が大きいですよ! とお伝えしたいです。我が家には男子が多く、子どもたちそれぞれが赤ちゃんだった時には「かわいいのも赤ちゃんのうちだけなのかな。大きくなったら、くそばばあなんて言われるのかな」などと思ったものです。でも、子どもが幼児になり、小学生になり、色々な活動の場で交流する中高生男子たちを見ていても、皆、基本的に「お母さんが大好き」で、とてもかわいらしくほほえましく見えます。お母さんたちのお話を聞いても、男の子は反抗したり憎まれ口をきいたりしても、どこかでお母さんを心のよりどころとしている部分が大きいようです。それは、女の子よりも男の子の方が大きい傾向がある気がします。「マザコン」という言葉は聞こえがよくないかもしれませんが、マイナスの意味ではない、母親と男の子ならではの恋人のような関係によるものではないかと思います。
「男の子は大変」という性別にとらわれず、育児を楽しみましょう
漠然と耳にしていた「男の子は大変」ということも、男女の生まれながらの差があること、成長にはそれだけが影響するものではないことを知ると、興味深く思えてきませんか? 「男の子は、中高生になってもかわいいんですよ!」というと、乳幼児の男の子の子育て中のお母さんたちがとても嬉しそうな表情になるのが、私はとても嬉しいです。男の赤ちゃんを迎えたお母さんたち、これから長く続く小さな恋人との甘い生活、思いっきり楽しんでくださいね!【関連記事】
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【参考文献】
『最新脳科学で読み解く 0歳からの子育て』(サンドラ・アーモット,サム・ワン著、開一夫監訳、プレシ南日子訳、東洋経済新報社)
『女の子脳 男の子脳 神経科学から見る子どもの育て方』(リーズ・エリオット著、竹田円訳、日本放送出版協会)
『胎児の脳 老人の脳 知能の発達から老化まで』(アルベルト・オリヴェリオ,アンナ・オリヴェリオ・フェッラーリス著、川本英明訳、創元社)
『話を聞かない男、地図が読めない女 男脳・女脳が「謎」を解く』(アラン・ピーズ,バーバラ・ピーズ著、藤井留美訳、主婦の友社)