20代後半だった彼らが生み出した名盤
■アルバム名SPRINGMAN(スプリングマン)
■バンド名
ユニコーン(川西幸一、奥田民生、手島いさむ、EBI、阿部義晴)
■データ
1993年5月21日発売
■販売元
CBSソニー
■おすすめポイント
1993年の解散前のラストアルバム。レコーディング中にドラムでリーダーの川西幸一が脱退し、「いよいよ解散か」という雰囲気の中で発表された。行きづまった感というか、出し切った感というか、アルバム全体の雰囲気は、The Beatles『Abbey Road』を彷彿とさせる名盤である(と、私が勝手に思っているだけだが)。
実は当時、私はユニコーンの熱狂的なファンであったが、このアルバムはあまり聞きこんでいない。3曲目の『すばらしい日々』はアルバムに先行して発売されたシングルなのだが、もう、これを聞くだけで「解散」が頭をよぎったからである。そしてその年の9月、それが現実のこととなり、「ああ。やっぱりね」と冷静に受け止めたことを今でも思い出す。
2009年、ファンの誰もが「ないでしょ!」と思っていた再始動をきっかけに、あらためてこのアルバムを引っ張り出して聴いた。『すばらしい日々』は、もはや別れの曲ではなく、再会の曲となった。
ベスト盤にも入る『すばらしい日々』『与える男』はもちろん、EBIの『薔薇と憂鬱』、阿部の『アナマリア』、手島の『オールウェイズ』、そして奥田の『スプリングマンのテーマ』『甘い乳房』……、いやもう、どれがおすすめなのか挙げられない。これほど名曲ぞろいのアルバムは、他のユニコーンのアルバムにあっただろうか。とさえ、思う。
とにもかくにも、20代後半(!)だった彼らが生み出した名盤である。