ノスタルジックで温かみも感じる、大人の描くメルヘンのような作風

■アルバム名
The Nightfly

■アーティスト名
Donald Fagen

■おすすめ理由
知能派集団スティーリー・ダンのメンバーだった、ドナルド・フェイゲンが、バンド解散後の1982年にリリースした初のソロ・アルバムです。
当時初めて完全デジタル録音を試みた傑作ポピュラー音楽作品のひとつとして、現在も高い評価を得ています。

コンセプトはアメリカ東海岸のとある街の出来ごと、1950年代以降の情勢に関する楽曲が中心で、例えば「I.G.Y.」という楽曲は、国際地球観測年に対する楽観主義についてを唄い、「ニュー・フロンティア」は、核シェルターの中で行われるパーティー、The Dave Brubeck Quartetの「Time Out」を掛けてダンスをするという歌、「グッドバイ・ルック」はカリブ海の島での軍事動乱、即ちキューバ革命をモチーフにした歌です。

近代社会の淡い夢と歪みについて、クールで皮肉めいた内容ながらも、どこかノスタルジックで温かみも感じる、大人の描くメルヘンのような作風です。

古き良き時代のロックやジャズの要素を主軸にしつつ、アーバンな新感覚さを取り入れたゲイリー・カッツのプロデュース力にも注目して欲しいものです。

ドナルド・フェイゲンにとっては、絶対に外せない縁の下の力持ち的存在感です。

AORというジャンルの中で必ず顔を出す程、インパクトのあるアルバムジャケットでもお馴染、これをパロディにしたグラフィック関係は星の数程存在するようです。

また幾人もの名うてのミュージシャンを集め、一つ一つの音作りにこだわり完璧な演奏を要求しています。

巧みに製作されたアルバムの一つとして広く認識され、日本人PAエンジニアの中には、ライヴ設営時の拡声装置の質を確かめる際、このアルバムの音を利用している人が多くいるそうです。




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