不動産売買の法律・制度/ガイド:平野の私的不動産用語集

登記事項証明書

「登記事項証明書」についての用語解説です。従来の登記簿謄本や抄本に代わる登記事項証明書のシステムをよく理解しておきましょう。(2017年改訂版、初出:2006年8月)

執筆者:平野 雅之


登記事項証明書

【とうきじこうしょうめいしょ】

法務局(登記所)において、従来は土地・建物の一つひとつに対して登記用紙が作成され、これらをまとめてバインダー(簿冊)に綴じて登記簿としていた。この不動産登記簿をコピーし、穿孔のうえで登記官の証明印を押したものが謄本または抄本である。

この場合、ひとつの不動産(1筆の土地または1個の建物)について登記事項のすべてを証明したものが「謄本」であり、そのうちの一部のみを証明したものが「抄本」となる。

共有にかかる土地のうち、ひとりの共有者に関する事項のみを証明したものなどが「抄本」であり、また、区分所有建物(マンション)は建物全体でひとつの登記となるため、そのうちの1室の登記事項を証明したものもやはり「抄本」である。

これに対し、近年は登記事務のコンピュータ化が行なわれ、従来の登記簿に代わりディスク上の登記記録に置き換えられている。この登記記録を証明する書面が「登記事項証明書」であり、従来の謄本または抄本に代わるものである。

この場合、出力された「登記事項証明書」には、従来の謄本に該当するものであれば「全部事項証明書(土地)」「全部事項証明書(建物)」、マンションの抄本に該当するものであれば「区分建物全部事項証明書」、土地・建物の抄本に該当するものであれば「何区何番事項証明書」などと表示される。

現在ではすべて登記事項証明書などに切り替えられている。従来の謄本や抄本を見かけること自体が少なく、不動産の謄抄本そのものを見る機会がないユーザーも多いだろうが、不動産の解説書やwebサイトなどでは、謄抄本のことしか記載されていないケースも多い。

また、つい最近に書かれたもののなかに「自分で登記所へ行って登記簿を閲覧しよう」という記述すらあったが、現在ではコンピュータによる登記記録を閲覧することはできない。

登記所で閲覧できるのは、登記に附属する図面など、もしくはコンピュータシステムに移行する前の “既に閉鎖された” 登記簿である。なお、従来の「登記簿の閲覧」に代わり、「登記事項要約書」が発行されることになっている。

>> 登記

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