不動産売買の法律・制度/ガイド:平野の私的不動産用語集

相続時精算課税制度

「相続時精算課税制度」についての用語解説です。親などから住宅取得資金の贈与を受けるときには、相続時精算課税制度を選ぶかどうか、しっかりと検討するべきです。(2017年改訂版、初出:2007年4月)

執筆者:平野 雅之


相続時精算課税制度

【そうぞくじせいさんかぜいせいど】

高齢者の保有する資産を早期かつ円滑に次世代へ移転させることを目的として、2003年の税制改正で新たに創設された制度。通常の贈与による非課税枠は2,500万円となっている。

非課税とはいっても、実際に相続が開始されたときには相続時精算課税制度により贈与された財産を、すべて相続財産に加えたうえで相続税の計算をすることになる。

贈与時点での財産評価をするため、贈与時には高く、相続時には暴落していたような財産があった場合、本来は不要な相続税負担が生じる可能性もあるので注意しなければならない。

贈与をする親の年齢について当初は「満65歳以上」だったが、2015年1月1日からは「満60歳以上」に引き下げられた。それと同時に祖父母から孫(20歳以上)への贈与も適用対象となった。

なお、制度の開始当初は住宅取得目的の贈与であれば1,000万円を上乗せして3,500万円までを非課税にできる特例もあったが、この相続時精算課税制度独自の住宅枠(上乗せ枠)は2009年12月31日をもって廃止されている。

その一方で、景気悪化に伴う緊急経済対策の一環として、住宅取得資金贈与の非課税枠が2009年6月に決定され、1月1日に遡って適用された。これは相続時精算課税制度だけでなく、暦年課税制度でも使えるもので、当初は500万円だった。

その後、適用期限の延長や非課税枠の改定が続き、2016年から2018年までの贈与では、省エネルギー性または耐震性を備えた良質な住宅を取得する場合が1,200万円、それ以外の一般住宅を取得する場合が700万円となっている。

住宅取得資金贈与の非課税制度は2021年12月31日までだが、消費税率が10%に引き上げられるタイミングに合わせて非課税枠が変わり、その後1年ごとに改定されることになっているので注意が必要だ。

>> 暦年課税制度

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相続時精算課税制度と住宅取得資金の贈与

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