伝説の犯罪王、カイザー・ソゼとは一体何者なのか
『ユージュアルサスペクツ』(1995年製作)
■監督ブライアン・シンガー
■主演
ガブリエル・バーン、ケヴィン・スペイシー
■あらすじ
ある夜、港に停泊中の貨物船が爆発し、27人もの死者が出るという事件が発生した。翌日、事件現場に居合わせたヴァーバル・キントという体に障害を持つ男が他の4人の男たちと共に警察に連行される。事件の解決に執念を燃やすデビッド・クイヤン警部はヴァーバルを尋問するのだが、すでに保釈の決まっているヴァーバルは話をするのを拒む。しかしクイヤンの圧力に負け、ヴァーバルは次第に事件の真相を語り出していく……。
■お薦めの理由
取調室に居る2人の男……クイヤン警部と弱気でおどおどしているヴァーバル。
物語はヴァーバルが語る供述と回想シーンが交互に進行していきます。4人の仲間とともに計画した強盗に失敗し、それをきっかけに知り合った弁護士・コバヤシに麻薬の取引に手を貸すよう促され1度は断るものの、コバヤシのバックに伝説の犯罪王=カイザー・ソゼがいる事が分かり、その仕事を受けざるを得なくなる5人。
伝説の犯罪王 カイザー・ソゼとは一体どんな人物なのか。映画を観ている側もドキドキしながらヴァーバルの回想に引き込まれていきます。5人がどんどんディープな犯罪にハマっていく様子、ヴァーバル以外の仲間たちが撃たれていく様子……。
そしてヴァーバルの供述から、クイヤン警部は以前自分が追っていた男がカイザー・ソゼであると確信し、ヴァーバルを帰すのですが……。この後一気に物語は大ドンデン返しの嵐になります。
私は初めてこの映画を観た時に「うおあああう」と変な声を上げてしまいました。そうか、そういう事だったのか……全てが明らかになっていくラスト10分のあの感覚はジェットコースターにベルトなしで乗っている感じに近いかもしれません。
更にラスト、1人の俳優が微妙な仕草や表情の変化だけで別人格になっていく様子……震えが来ました。
血が出る訳でも首が飛ぶ訳でもないのに本当に恐ろしかったんです。
オリジナル脚本(クリストファー・マックァリー)の秀逸さ、出演者の緻密な演技、そしてあのドンデン返し……。
20世紀を代表するサスペンス映画の1本と言っていいのではないかと思います。