「こちらヒューストン、アポロ13応答せよ」
■作品名アポロ13
■監督
ロン・ハワード
■主演
トム・ハンクス
■DVD/Blu-ray発売元
ジェネオン・ユニバーサル
■おすすめの理由
先日、JAXAが12年ぶりに開発された新型国産ロケット、「イプシロン」の打ち上げに成功しましたね。
発射台のある鹿児島県の内之浦には1万5千人ものファンが詰めかけ、カウントダウンを固唾を呑んで見守ったそうで、新聞にも連日、大きく取り上げられていました。
このイプシロンが乗せているのは惑星観測衛星で、時代も違いますから、国内の数万人の熱狂で済んでいるのでしょうが、月に人間を送り込む「アポロ計画」に対する狂騒は、きっとものすごかったのだろうなと、想像できますよね。そしてこの「アポロ13」は、その13番目の計画を描いたもので、クルー3人は、結局、月には行けなかった物語です。
アポロ計画も13まで行けば、世間の関心も薄れ、別の事業に予算を回した方が良いのではと言われる始末。晴れがましい発射の瞬間や宇宙からの映像なのに、テレビで放映されなくなっています。
そんな彼らの船がエンジントラブルにより、月へ行くどころか、地球に帰還することすら危ぶまれる状況に陥ります。呆然とするクルーの家族たち、彼らを撮ろうと押し寄せる報道陣。電気も酸素も残り少ない極限状態に必死に耐えるクルー。彼らを生きて還そうともがくNASAの職員達……。
わたしが特にお勧めしたいのが、風疹検査でひっかかり月に行けなくなった、ゲーリー・シニーズ扮するケンです。ロケットの発射を遠く離れた丘からひとり見守り、その後車で去るシーンは、通って抱きしめてあげたくなるほど寂しそうです。
その後事故が起こってクルーを生還させるために、この計画を誰よりも熟知する彼が呼び戻され大活躍するのですが……。生還させるまでの彼の雄姿と信頼で結ばれたトム・ハンクス扮する船長との掛け合いは、ご自分で観て、お楽しみください。
「アポロ13」は誰かが殺されるわけでも、大きな謎があるわけでもありませんが、最後までドキドキさせてくれる、良質のサスペンス映画としてお勧めします。