生まれた時から常に誰かに見られている無垢な主人公
■作品名トゥルーマン・ショー (98)
■監督
ピーター・ウィアー
■主演
ジム・キャリー、エド・ハリス
■DVD販売元
パラマウント ジャパン
■おすすめの理由
この映画の主人公であるトゥルーマン(ジム・キャリー)だけは何も知りませんが、彼は生まれた時から作られた街(セット)で暮らし、両親も妻も隣人も皆俳優が演じています。
そして彼の生活の一部始終は「トゥルーマン・ショー」としてテレビで生中継されているのです。
……という何とも奇抜なアイデアが秀逸なピーター・ウィアー監督のシニカル・コメディです。
キャリーが『マスク』(94)などの百面相の顔面芸から脱皮して、無垢な主人公を巧みに演じています。
また、エド・ハリス扮する番組のプロデューサーが、あたかも創造主=神のごとく描かれている点が、キリスト教社会のアメリカを象徴するようで興味深く映ります。
映画を見ながら、私たちが生きている実際の世界も常に誰かに見られているのでは……といった怖さも浮かんできます。
この映画は、テレビ番組に造られたトゥルーマンが、その秘密を知って自立していく話ですが、彼の半生を通して、人間はどう生きて死んでいくべきなのかという永遠の問い掛けを発してきます。
このように、コメディの形を借りて深いテーマを描くのは、アメリカ映画が最も得意とする手法の一つです。