政治家はこうあってほしいという願望が込められた作品
■作品名デーヴ(93)
■監督
アイバン・ライトマン
■主演
ケビン・クライン、シガーニー・ウィーバー
■DVD/Blu-ray発売元
ワーナー・ホーム・ビデオ
■おすすめの理由
この映画の主人公は、小さな職業斡旋所を営む好人物のデーヴ(ケビン・クライン)。
米大統領とそっくりな彼が“パートタイム”で大統領の“影武者”に雇われます。
そんな折、大統領が愛人との秘密の情事の最中に意識不明の重体に。
側近たちは急場をしのぐためにデーヴに“常勤”を申し出ます。
ところが、一市民のデーヴの目から見ると政治の世界はおかしなことばかり。
彼は普通の考え方で政策を見直していきます。
やがて周囲の人々や大統領夫人(シガーニー・ウィーバー)もデーヴの不思議な魅力に引かれていき……。
クラインが、お人好しのデーヴと憎々しい大統領の二役を見事に演じています。
チャーミングなウィーバーのほか、ベン・キングスレー(副大統領)、フランク・ランジェラ(大統領補佐官)、ヴィング・レイムス(護衛官)、ケヴィン・ダン(報道官)、チャールズ・グローディン(町の会計士) らデーヴを取り巻く脇役たちの活躍も見逃せません。
この映画には、政治とはかくあるべき、政治家にはこうあってほしいという願望が込められています。
それはアメリカの理想主義を描いたフランク・キャプラ監督の名作『スミス都へ行く』(39)や『群衆』(41)にも通じるテーマです。
アイバン・ライトマン監督はそうした精神を、政治コメディとして現代によみがえらせたのです。