香港映画史上初のロングラン興行を記録した上質コメディ
■作品名黒薔薇VS黒薔薇
■監督
ジェフ・ラウ
■主演
レオン・カーファイ
■DVD発売元
キングレコード
1992年の香港映画です。香港のアカデミー賞的存在である「香港電影金像奨」で、1993年の第12回最優秀主演男優賞および最優秀助演女優賞に選ばれました。香港では大ヒットした映画で、香港映画史上では初となる175日のロングラン興行を記録しています。
■あらすじ
離婚したばかりの売れない女流作家のウォンは仕事がうまくいかず、毎日落ち込む日が続いていました。ウォンに思いを寄せる刑事のロイ・ケイはチンピラに絡まれていたウォンを助けますが、きざなロイ・ケイを見てウォンは「変な奴」と無視してしまいます。
ある日、偶然にも麻薬組織の殺人事件を友人のキュンと目撃したウォンは、自分たちがその場にいたことをごまかすために伝説の義賊・黒薔薇のサインを残すのですが、黒薔薇一族と麻薬組織、さらに警察から追われることに。
ウォンはロイ・ケイに助けを求めますが、二人とも黒薔薇一族につかまってしまいます。一方、キュンも麻薬組織につかまってしまいますが、黒薔薇一族の館に合流します。そして黒薔薇一族と、館に乗り込んできた麻薬組織の決戦のときが……。
あらすじを書くと何となくヒーローたちが活躍しそうな雰囲気がありますが、この中にさまざまなパロディが盛り込まれています。主に香港映画のパロディですが、その知識がなくても笑えるシーンが満載です。
レオン・カーフェイがコメディ?!
レオン・カーフェイといえばシリアスな役でおなじみです。1984年「西太后」の咸豊帝、1987年「火龍/ザ・ラスト・エンペラー」の主役・愛新覚羅溥儀、1992年「愛人/ラマン」の主役の中国人青年を務めています。日本ではもの悲しげな役が似合うイメージが強いのではないでしょうか。その彼が体当たりでコメディを演じています。脇役のマギー・シュウ、テレサ・モウ、フォン・ボーボー、ウォン・ワンシー、みんな香港では名優と評価されている人ばかりです。名優たちがコメディを演じて面白くないわけがありません。香港らしい上質のコメディです。
黒薔薇一族のキャラクターが良い
黒薔薇一族の二人は、まるで宝塚歌劇の男役と娘役のような雰囲気です。しかし、姉はどのような状況でも演武を行う「将軍令」に忠実に従い、妹は健忘症。この設定が笑いのカギとなっています。ばかばかしいコメディが好きな方には一押しの作品です。