劇中の音楽を俳優たちが演奏した作品

 

 

■作品名
上海バンスキング 自由劇場版(1988年)

■監督

串田和美

■主演
吉田日出子、笹野高史、串田和美

■DVD販売元
カズモ

■お薦めの理由
元々、串田和美さん率いる「オンシアター・自由劇場」の舞台作品として繰り返し上演されていた「上海バンスキング」。この作品を最初に映画化したのは松竹で、その際の監督は「蒲田行進曲」で大当たりを取った深作欣ニ氏でした。ただ深作版の「上海バンスキング」は、脚本を大幅に書き換え、ミュージカルと云うより日中戦争の場面に重きを置いた戦争アクション映画としての色合いが濃く、オリジナルとは大分違った内容になっていたと思います。

その後、オンシアター自由劇場の主宰・串田和美さんがメガホンを取り、吉田日出子さん、小日向文世さんら自由劇場の劇団員が出演してオリジナルに近い形で新しく撮影されたのがこの「上海バンスキング」(自由劇場版)です。

舞台版では当時としては珍しい、劇中の音楽を全て劇団員たちが自分達で演奏するという手法を取っていたのですが、それは映画版にも引き継がれ、1930年代後半から40年代の上海の夜を飾る数々のジャズナンバーが全編を通して甘く切なく流れています。

その俳優さん達による楽器の演奏も勿論見どころの1つなのですが、是非注目して頂きたいのがヒロイン・まどかを演じる吉田日出子さんが歌う何とも個性的で魅力的なナンバーの数々です。作品オリジナルの「ウェルカム上海」や「港は雨の晩」、ジャズのスタンダードナンバー「私の青空」「りんごの木の下で」等、20曲以上のナンバーが物語を彩るのですが、これが本当に何とも言えない色っぽさとセクシーさを兼ね備えていてイイ!のです。

あらすじ
夫であるクラリネット奏者・波多野に「パリに行こう」と騙され連れてこられた上海で、バクマツやリリーといった個性的な面々と出会い、ひょんな事からジャズクラブで歌う事になったまどか。すったもんだがありながらも、楽しく暮らしていた日々が戦争によって壊され、その戦争がやっと終わった時、愛する人たちは変わり果てた姿になってしまっていた……。

上海と言う魔都、甘いジャズ……私達の青春は一体なんだったのだろう……。
輝いた時間、失った時間はもう戻らない……。
大人になってから観ると、何とも言えない切なさが胸に迫る映画です。





※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。