人間の犠牲になった犬たちを描いた事実の話
■作品名南極物語(1983)
■監督
蔵原惟繕
■主演
高倉健、渡瀬恒彦、岡田英次、夏目雅子
■DVD/Blu-ray発売元
ポニーキャニオン フジテレビ
■おすすめの理由
1983年に公開された「南極物語」。
日本では1200万人の観客を動員し、61億円の配給収入を上げ、当時の日本映画の興行成績歴代1位となり、その記録は1997年の「もののけ姫」まで抜かれることはありませんでした。
■あらすじ
舞台は昭和33年の南極の昭和基地。
第一次越冬隊員と第二次越冬隊員との交代が行われようとしていたが、悪天候で計画は変更され第二次越冬は中止。
撤退をすることになるが、第一次越冬隊の樺太犬15頭は、昭和基地に置きざりにせざるおえなくなる。
人間がいなくなった極寒の地に、エサもなく放置された犬達。
そして犬を連れて帰るために懸命に努力したものの、それも叶わず連れて行くことのできなかった犬係の潮田(高倉健)は、帰国後はバッシングの嵐に。
大学講師の職を辞して、樺太犬の提供者に謝罪の旅に出る。
残された犬達は、生存をかけ首輪から抜け出す戦いをするが、自由になった犬は15頭のうち8頭。
そして食糧を求めて南極の地をさすらう……。
とにかく圧倒的な大自然の中で繰り広げられる、犬達の演技力がすごいです。
生存をかけて自分達で魚をとったり、アザラシを襲ったり、足を滑らせで氷の海に落ちたり……。撮影の時に、この犬達の健康管理とかきちんとしてくれたのだろうかと心配になってしまうほど、ドキュメンタリータッチで描かれています。
置き去りにされたのに、懸命に生き延び、人間を忘れずにいたタロとジロと犬係だった潮田と越智の再会は感動ものです。
なぜ置いてこなければならなかったのか、なぜ置いてくのであれば首輪をはずしてあげなかったのか……が理解できないのですが、それも含めて、人間の身勝手さや犬の賢さ、一生懸命に生きる力など学ぶことの多い映画です。
感動だけではなく、こういう犬が人間の犠牲になった事実もあったのだということを知る意味でも是非、観て欲しい映画だと思います。