千利休の生き方を描いた歴史映画
『利休』

■監督
勅使河原宏(てしがはら ひろし)

■主演
三國連太郎、山崎努

■DVD販売元
SHOCHIKU Co.,Ltd.(SH)(D)

■あらすじ
安土桃山時代、織田信長と豊臣秀吉に使えた茶人、千利休の生き方を描いた歴史映画。本作では石田三成の台頭以降、秀吉との関係が狂い始めてから切腹を命じられるまでの間の葛藤が、利休の視点で描かれる。

■お勧めのポイント

作品最大の魅力はそのユニークな視点にあります。

勅使河原宏氏は、映画監督として寡作ながら優れて前衛的な作風で高く評価される一方、生け花の名門・草月流家元三代目の華道家としても有名で、生涯を通じて芸術活動を幅広く手がけられました。

本作は勅使河原監督作品としては集大成的な位置付けにあります。

即ち利休と秀吉との葛藤を、茶道の大家としての利休の視点と、監督の芸術家としての視点を重ね合わせながら、求道者としての矜持を、延いては茶の湯の精神の本質を描き出すことに主眼が置かれます。

そのため本作は歴史ものであると同時に芸術映画でもあります。

作品の魅力

■役者の好演
利休役・三國連太郎さん、秀吉役・山崎努さんをはじめ、三田佳子さん、岸田今日子さん、北林谷栄さんなど、いわゆる演技派俳優と、歌舞伎界の大物、松本幸四郎さん、中村吉右衛門さんで役者を固めた配役は見応えがあり、名優達の重厚な演技が堪能できます。

■衣装、小道具、音楽へのこだわり

衣装は『乱』でアカデミー衣裳デザイン賞受賞のワダ・エミ氏で、人の内面を衣装で表現するスタイルが作品の世界観を引き立てます。

音楽は武満徹氏。80年代後半は氏の円熟期であり、本作においては抑制された室内楽の響きが特に魅力的で日本アカデミー最優秀作曲賞を受賞しました。

また小道具・やきものも桃山時代の一級品を多く使用し作品に華を添えます。

演出面においては、余分なものを削ぎ落として本質に迫り、侘び・寂びを作品の背景に描き出そうとする試みが感じられます。そのため本作はドラマ部分の描き込みはあっさりしています。

よって本作は歴史を学ぶといった観方よりも、利休と秀吉の関係についてある程度の知識をお持ちの方が、利休が伝えたかったことに想いを巡らし理解を深める、といった観方をされる方がより楽しめるのではないかと思います。




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