他では読めないような旅行記
■書名スペイン旅行記
■おすすめポイント
カレル・チャペックは、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間のチェコスロバキアで、最も人気のあった国民的作家です。戯曲『ロボット(R.U.R.)』が基となって、「ロボット」という言葉を作ったと言われることもあります。
ヨーロッパの北部に住む人々にとっては、暖かい太陽が輝く南欧の風景はいつの時代も憧れの対象となり、いつかは行ってみたいと考える所のようです。
類に漏れず、チャペックも南欧、スペインに憧れをもっていたようです。1929にスペイン旅行を決行しました。ドイツからフランスのボルドーを経由して、スペインに入りました。スペインでは、マドリード、トレド、セビーリャ、ヘレス、マラガ、バレンシア、バルセロナを巡りました。
どの都市も現在でも変わらぬ人気の観光都市であり、チャペックはそのときの見聞を一冊の旅行記にまとめ上げました。1929年当時の様子と現在の街は、必ずしも一致するものではないでしょうが、歴史的な佇まいや人々の生活模様には共通するものも多いでしょう。チャペルの独特の観察力と描写は時代を超越するようにも感じます。
また、自筆の挿絵も数多く挿入されており、他では読めないような旅行記となっています。
■スペイン旅行記
著者:カレル・チャペック
出版社:恒文社
発売日:1997年11月20日
定価:2000円
※データは記事公開時点のものです。