熱い気持ちと幻影によって記された台湾紀行
■書名台湾 韓国 香港 逍遥游記
■おすすめポイント
先日、古本屋で購入しました。
紀行本は大好きで、各地の古本屋さんに寄るとまず、紀行本の棚を探します。
写真家で紀行作家の藤原新也。インド、アジア、東京、アメリカなどを写真とエッセイを組み合わせたアサヒグラフに連載しました。熱い気持ちと幻影によって記された『台湾 韓国 香港 逍遥游記』は1972年の処女作『印度放浪』、『西蔵』の次に出版された青春放浪作品で1977年に第3回木村伊兵衛写真賞しました。
40年ほど前の旅行記です。写真は時代の移り変わりを文章の何倍も違いがわかります。日本でさえ、日常の風景は変っています。それが、今と比べると、目新しいのか、懐古的なのか、珍奇なのかは読者の心象によって見方は違ってきます。今は無き風景が大半かもしれませんが、ただ、これから旅をするのにそれを知っているか、知らないまま旅をするのかでは旅の本質にかかわってきます。
藤原自身、台湾の滞在を「醒めた日常の日々」と表現しますが、2008年『日本浄土』の方が安らぎを感じる文章です。
■台湾 韓国 香港 逍遥游記
著者:藤原新也
出版社:朝日文芸文庫
価格:972円
※データは記事公開時点のものです。