というのも、なんと日本人の75%は疲れているなんてデータも!
そんな「日本人の疲労」を考えてきたブランド『アリナミン』。誰でも一度はその名前を聞いたことがありますよね。実は疲れの種類に合わせ、製品も処方を変えているそう。うまく使って、疲れ回復の切り札にしたいもの。そこで、武田薬品工業ヘルスケアカンパニー田原光博氏にアリナミンの上手な選び方・使い方などを伺いました。
脚気の研究をきっかけにビタミンB1の研究へ
もうすぐで60年週年を迎えるアリナミン、今では代表的なビタミン剤のひとつといえます。しかし、その歴史はもともとは脚気(かっけ)の治療研究から始まったらしいのです。――脚気の治療研究が、どのようにして疲労回復を助ける薬となっていったのですか?
田原氏「1954年発売のアリナミン第一弾であるアリナミン糖衣錠は、ビタミンB1誘導体プロスルチアミンから作られました。プロスルチアミンは当時流行していた脚気の原因がビタミンB1不足ということから、ビタミンB1の壊れやすく吸収されにくい性質を改善する研究の結果、ニンニクに含まれる成分をヒントに作り出されました。その後、海外からの報告によりアリナミンを大量投与すると、肩こり等の神経痛に効果を示すことがわかったのです。しかし、当時のアリナミンを大量投与するには、そのニンニクのようなにおいが課題でした。」
そこでさらに研究を進めたところ、コーヒーの芳香成分からフルスルチアミンという同様の効果を持つ成分の合成に成功。
1961年にはこの成分を用いた、ニオイの少ない『アリナミンF』が発売され、疲労回復につながる投与が広く使用されるようになったんですね。アリナミンの誕生にニンニクやコーヒーが関わっていたとは……雑学のネタになりそうです。
「現代人の疲れ」に合わせて変遷するアリナミン
発売から間もない頃の1960年代、しっかりカラダを使って労働している日本人はまだ相当数に上りました。つまりその頃の疲れは「動いたことによる肉体の疲れ」というイメージ。そのため、当時の大衆薬のアリナミン製品は、肉体疲労時の栄養補給を訴求していた『アリナミンAシリーズ』だけでした。しかしその後、パソコンの普及に伴い、肉体はほとんど動かさなくとも終日モニターを見続け、目も頭もフル回転してハードな仕事をこなすIT時代の「動かない疲れ」が増えてきたようです。
田原氏「そうなんです。お客さまの疲れの状況は確実に変化してきました。肉体疲労だけではなく、『肩がこる』『目が疲れる』『腰が痛い』という訴えが増えてきたんです。つまり『局所の疲れ』に対処する製品シリーズの必要性が急速にアップしてきたんです。」
そこで登場したのが「局所の疲れ」に対応する『アリナミンEX』。しかし、パソコンがある程度普及しシリーズが発売されたばかりの20年前と比べても、疲れの状況は日々変わっているもよう。
田原氏「近年スマートフォンやタブレット端末の普及などにより、近くのものを凝視したり、同じ姿勢を維持するようなシーンが様々な年代で増えてきました。そういった環境変化のなか、従来とは違い、寝ても疲労が回復せずに継続するような、溜まった疲れが増えてきているように感じます。」
確かに近頃、四六時中スマートフォンなど目を酷使するデバイスを見続けていますものね……。ガチガチに固まったような眼精疲労は、肩とも頭とも連動していそう。その疲れはカラダの中から根絶したいものです!