社会保険労務士試験/社会保険労務士とは

合格後の社労士資格の活かし方【50代~60代、定年後】(2ページ目)

資格は試験に合格しただけで実際に使わなければ宝の持ち腐れになってしまいます。特に難関資格の社会保険労務士で、労働・社会保険関係の法律を猛勉強したのに、その知識を活かさないのは実にもったいない。そこで、合格者の年代・性別パターンによって、どのような資格の活かし方があるか、ご紹介したいと思います。今回は、50代から60代、定年後の方の場合です。

長友 秀樹

執筆者:長友 秀樹

社会保険労務士試験ガイド

経営全般の顧問となるのが理想、行政協力で年金相談の仕事も

50代以上の方であれば、ご自分が築いてきた人脈や経験を活かし、企業の経営顧問のような立場で顧客を獲得してくのが理想ではないでしょうか。

入り口は人事・労務であっても、ご自分が得意な業界や、専門とする業務に関わる経営全般に対してもアドバイスできれば、企業経営者にとって欠かせない存在となります。

必ずしも必要ではありませんが、中小企業診断士とのダブルライセンスも有効です。

逆に言うと、少し厳しい言い方になりますが、一般的な社労士顧問業務(労働・社会保険手続き代行や助成金申請業務など)メインで開業するのは、競争も激しいため、かなりの苦戦を強いられるでしょう。

また、定年後に他の収入もあるので、一定の範囲で社労士の仕事をしたいという方は、都道府県の社会保険労務士会で募集する行政協力の仕事があります。

内容は、市民向けの年金相談員や労働問題相談員、社会保険の算定や労働保険の年度更新の手続き応援、社労士試験の試験官などです。

ただし、常に募集されているものではありませんし、報酬はそれほどもらえませんので、あまり期待しない方がよいです。

定年後のキャリアのために資格取得を目指す

人事部門で勤務されている方であれば、自己啓発や、会社からの指示などをきっかけとして社労士資格を目指す方がいらっしゃいます。

社労士試験の学習を通じて得られる、労働・社会保険関係の法令知識は、企業の人事部門にとっては極めて重要な情報です。

特に法改正動向は重要で、本年平成25年4月から改正された法律だけでも、高年齢者雇用安定法の改正による定年後のベテラン社員活用戦略や、労働契約法の改正による有期雇用社員の雇用戦略など、企業の人事戦略に大きな影響が出てきます。

また、これから改正を控えている法律でも、労働者派遣法や障害者雇用促進法などは、企業の雇用戦略に密接に関わるものですし、アベノミクスの規制緩和策により検討されている解雇規制の緩和なども、その動向が注目されます。

このような問題に対処するには、もちろん外部の専門家の手を借りることも必要ですが、企業内部においても正確な知識と的確な情報収集力をもった人材が必要で、これらを兼ね備えた勤務社会保険労務士の存在は、企業にとって大きなメリットとなり得ます。

このため、50代の方で人事の仕事をしているのであれば、ご自分の仕事に直接活かすことができるでしょう。

また、定年を控えている方も、定年後再雇用などの場面で、社労士資格の保有が会社から評価される可能性があります。

公的年金の受給年齢の引き上げが進み、定年後のキャリアや働き方を考える上で、社会保険労務士のような資格取得の重要性は、ますます注目されそうですね。
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