行政書士による遺言書作成の報酬

今回も、行政書士の仕事の中身と報酬をお話ししたいと思います。取り上げるのは、遺言書作成です。最近、遺言書作成キットが書店にも並び、雑誌でも取り上げられている何かと話題の遺言書作成。行政書士に依頼して遺言書を作成すると、報酬はいくらになるのでしょうか。また、どのような仕事なのでしょうか。
   

遺言書作成の仕事の内容は相続人の確定等

行政書士に遺言書を依頼すると報酬は

遺言書作成業務は今後発展していく業務です

まず、資料集めをします。誰が相続人であるかということと、どれだけ財産があるかということを明らかにするためです。

相続人を確定させるためには戸籍を集めます。戸籍を調べたら相続人が増えるということもあります。特に戦前は、「~だけど、戸籍上は」など。また、戸籍を取り寄せたら隠し子が見つかったということもあります。戸籍はパンドラの箱です。

余談ですが、戸籍と遺言と言えば認知の問題があります。認知は遺言ですることが認められています(民法781条2項)。自分が死んでしまったあとだから、妻から浮気を追及されることもないし。認知する子供には財産を残したいし。そんな気持ちに応える条文の存在意義はわからないではありません(法律は人間というものをとてもシビアにとらえています)。

しかし、納骨前の骨壺を前に嘆き悲しむ妻の顔が、憤怒の顔に変わるかもしれません。認知された子と他の相続人の軋轢は相当なものになるでしょう。それを考えると、遺言の中で事情説明をしたり、遺言執行人をたてておくなど、紛争を最小限に抑えるようにしておく必要があると思います。

次に、財産目録を作成しなければいけません。遺言書では、この財産を誰々に、と言った形で指定することもできます。その上でも、まず財産の洗い出しをしないといけません。

財産目録にもれている財産があると、もめごとの一因になってしまうこともありますので、しっかりと作成しなければなりません。なお、この財産の総額は、公正証書遺言を作成する際の、公証人手数料の基準になります。
 

資料が集まったら依頼者に遺言書に関する法律制度の説明

遺言書に関する法律制度のご説明を依頼者にします。相続人、相続分、相続財産、遺言制度、諸手続きなどの法律の説明です。行政書士が遺言の内容について、「この方が節税対策になりますよ」といった税務のアドバイスや、「長男には土地だけで十分ですよ」といった遺言内容の具体的アドバイスはできません。弁護士法や税理士法などによる法律上の制限があるからです。あくまで遺言内容は依頼者が決めるのです。

ただ、内容についてご指摘することがあります。それは、終末医療における延命措置の拒否を遺言に記載しようとする場合です。遺言は遺言者が死亡してから効力が生ずるため、遺言書が封印されていると死後に開封します。死後に終末医療について指示をしても意味がないからです。

依頼者の考案した遺言内容を、形式的に法律の文書に変換することが行政書士の仕事です。
 

公正証書遺言とは公証役場で公証人が作成する文書

行政書士の仕事は、上記のように、資料集めや法律の制度説明、形式的な遺言書の確認、文書の考案です。さらに、公正証書遺言を作成する場合に、公証役場との折衝を本人に代わって行うことがあります。

公正証書とは、簡単に言えば、公証役場で公証人が作成する文書です。遺言を公正証書にすることができます。国が保管してくれますし、紛争予防にもなります。遺言を、公正証書にする際に、依頼があれば、その取次や折衝、証人確保、立会いなども行政書士が行います。これにより、スムーズな公正証書作成が可能になります。
 

さて、報酬は

面白いことですが、遺言書作成については、弁護士、行政書士で報酬はかわりません。大体、10万円というのが相場です。意外に安いと思いませんか? なぜでしょう。その理由は遺言執行人という仕事があるからです。

遺言執行とは、遺言の内容を実現することです。遺言書作成を専門化に依頼して作成する場合、通常は、遺言書に遺言執行人を定めます。そして、遺言執行人には遺言作成に携わった専門家を指名しておくのが通例です。その遺言について、作成の段階から関与しており、遺言内容の実現を図りやすいからです。

遺言書作成の仕事は、遺言執行人の報酬によるところが大きいのです。遺言執行人の報酬は財産額によって変わってきますが、下は50万円前後から、上に限度はありません。相当高額になることがあります。遺言執行人に資格はありませんので、行政書士以外にも、弁護士、司法書士、税理士、信託銀行などがなることもあります。

行政書士の相場は、50万円前後から100万円前後の印象を受けます。もちろん、相続財産や事務量によっては、これより低額の場合も、高額の場合もありえます。

いずれにせよ、高額な報酬であることは間違いありません。しっかりとした、取り決めをしておく必要があると思います。報酬をめぐって遺言執行人と相続人でもめることになりかねませんので。

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