午後に眠くなるのは自然なこと
昼寝は睡眠不足の現代人を救います
午後に眠くなることには、体内時計も関係しています。体内時計が作り出す眠気のピークは、1日に2回あります。一番大きなピークは午前2~4時にあり、もう一つの小さなピークが午後2~4時にあるのです。午後に眠くなるのは主に、こちらの原因によります。
午後の眠気への対処の仕方には、2つあります。眠気に対抗して頑張って起きているか、眠気に身をゆだねて眠るかです。眠気覚ましの方法は、「眠気のコントロール法」をご参照ください。ここでは、ビジネス界で「パワーナップ」と呼ばれている昼寝の正しいとり方について、詳しくご紹介します。
午後3時までに20分間が基本
昼寝の基本は、正午から午後3時までのあいだの20分間です。昼寝は、なぜ「午後3時まで」にとらないといけないのでしょうか? 午後の仮眠は、その日の夜の睡眠の先取りになります。ですから、遅い時間に仮眠をとると、夜の睡眠に悪影響がでてしまうのです。そのため昼寝は、夕方より前に終わっておく必要があります。
「20分」という長さも重要です。私たちは寝つくとまず、脳の眠りであるノンレム睡眠が現れます。ノンレム睡眠は、浅い睡眠と深い睡眠に分かれています。ノンレム睡眠が終わると、体の眠りであるレム睡眠にかわります。
深いノンレム睡眠のときに目覚めようとしても、なかなか起きられません。さらに、目覚めたあとに頭が元の状態に戻るまでに、時間がかかってしまいます。できれば浅いノンレム睡眠のうちに、昼寝から目覚めたいのです。これまでの研究では、20分の昼寝では深いノンレム睡眠にならないことが分かっています。
これらのことから、午後3時までにする20分の昼寝が最適なのです。
ランチタイムが昼寝のベストタイム
昼ご飯の後に眠ると、時間がムダになりません
椅子にもたれかかるか、机に突っ伏して眠りましょう。椅子にもたれかかって眠るときは、首を痛めないようにコの字枕などを使ってください。机に突っ伏して眠るときも、顔にあとがつかないように昼寝用枕を使ったり、よだれが垂れても大丈夫なようにハンカチを口に当てたりしましょう。
睡眠不足がたまっていれば、間違いなく20分以上眠ってしまいます。眠る前には必ず、目覚ましアラームをセットしておきましょう。
コーヒーは昼寝の前に飲む
「目覚めのコーヒー」などと言いますが、20分の昼寝のときは、眠る前にカフェインをとりましょう。脳の中で働く睡眠物質のひとつに「アデノシン」があります。アデノシンは「ギャバ作動性神経」を通じて、脳全体の活動を抑えたり、視床下部にあるノンレム睡眠の中枢を活性化したりします。このため、アデノシンが脳にたまってくると眠気が強くなってくるのです。
カフェインは、アデノシンが細胞に作用することを邪魔して、眠気を感じにくくします。また、脳の「報酬系」という部分を刺激するので、起きているのが楽しく何となくハイな気分にして、覚醒度を上げてくれます。
カフェインを飲むと、一部は胃から、残りの大部分は小腸から吸収されます。温かいコーヒーを飲んだ場合、血中濃度が最大になるのは摂取後20~30分ぐらいです。つまり、20分の昼寝の前にカフェインをとっておくと、目覚めるころにカフェインが効きはじめて、スッキリ起きられるのです。
ちなみに、アイスコーヒーを飲むと、小腸粘膜の毛細血管が収縮し、胃の運動も低下するので、約1時間後にやっと血中濃度が最大になります。
昼寝はどこでもできる
眠ろうと思えば、トイレでも昼寝ができます
さらに、職場のどこで寝たかを聞いたところ、自分のデスクが64.6%ともっとも多く、次いで職場の休憩室(17.9%)、職場の空き部屋(15.4%)、車の中(14.6%)、職場の休憩スペース(13.8%)と続きました。なかには、トイレで眠る強者もいるようです。
職場以外では、公園や喫茶店、電車の中なども昼寝に適した場所です。ただし外で眠るときには、安全に十分気をつけてください。
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