今回は、遺族年金の受給にあたって注意したいポイントを6つご紹介したいと思います。
注意点1:遺族年金受給者が再婚したら、年金はゼロになるか減る
遺族年金の金額は環境の変化によって変わります
■ケース1 遺族厚生年金のみを受給している妻
遺族厚生年金のみを受給している妻とは、子ども(18歳到達年度の末日までにある子供)がいない妻のことです。
この妻が再婚をすると、遺族厚生年金の受給権は消滅します。よって年金はもらえなくなるということになります。たとえ、再婚相手と離婚した場合でも、遺族年金が再びもらえることはありません。
■ケース2 遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給している妻
遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給している妻とは、子ども(18歳到達年度の末日までにある子供)がいる妻のことです。
この妻が再婚をすると遺族基礎年金、遺族厚生年金の受給権は両方とも消滅します。よって妻の年金はもらえなくなるということになります。しかし、子どもが18歳到達年度の末日を経過するまでは、遺族厚生年金が子供に対して支払われます。
夫の死亡当時、18歳到達年度の末日までにある子どもは、妻と同様、遺族基礎年金、遺族厚生年金の受給権を取得します。しかし子どもには、以下の支給停止事由があります。
(1)妻が遺族基礎年金、遺族厚生年金の受給権がある間は、子どもの遺族基礎年金、遺族厚生年金は支給停止
(2)父または母と生計を同一にしている子どもの遺族基礎年金は支給停止
今回のケースで妻が再婚すると、妻の遺族基礎年金、遺族厚生年金の受給権は両方とも消滅するため、子供に対する支給停止事由(1)がなくなります。ただし、母と生計を同じにすると(2)に該当するため、結果として、子どもに対して遺族厚生年金が支払われるということになります。
なお、夫と死別後、再婚せず旧姓の氏に変更する場合は、遺族年金の受給権は消滅しません。この場合、氏名変更届が必要となります。
注意点2:子どもが高校卒業後、遺族年金の金額が変わる
夫が死亡した当時、18歳到達年度の末日までにある子がいる場合、遺族年金のうち遺族基礎年金という年金がもらえます。金額は子どもが1人の場合100万2500円(平成25年度)です。一定の条件を満たす人はこれに加え、遺族厚生年金がもらえます。この遺族基礎年金は、子どもが18歳到達年度の末日を超えると無くなります。
よって、遺族基礎年金だけをもらっている人は、子どもが18歳到達年度の末日を超えると遺族年金は全く無くなり、遺族基礎年金と遺族厚生年金をもらっている人は、遺族厚生年金だけをもらうという流れになります。
なお、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給している人で、子どもが18歳到達年度の末日を超え、遺族基礎年金の受給権がなくなった時、40歳を超えていれば「中高齢寡婦加算」という加算金が遺族厚生年金からもらえます。「中高齢寡婦加算」の詳細は次のページをご覧ください。
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