歴史ある京都鴨川納涼床
5月から9月まで設置される鴨川納涼床
京都の夏の風物詩といえば、河原や川の上に床を張りだして座敷席をつくる「川床」が有名です。今回は京都の繁華街にあり、夜遅くまで楽しめる「鴨川納涼床」をご紹介します。
毎年5月1日から9月30日まで行われる「鴨川納涼床」は、二条大橋から五条大橋の間で、100軒を超える店舗が河原に席を設けます。ちなみに同じ京都でも、鴨川では高床が略されて「床(ゆか)」、川の水面上に板を設置する貴船では「川床(かわどこ)」と呼ばれています。
川床の歴史は古く300年以上前の安土桃山時代の後期に始まったといわれています。鴨川周辺では、江戸時代には花街が発展し、河原には茶屋の床几(しょうぎ:移動用の簡易腰かけ)や張り出し型の床が設置され、賑わっていたようです。
菜種油を使用した行灯
ところで、江戸時代の照明は、灯油の火皿を和紙で覆った行灯やろうそくが中心でした。上の写真は、江戸時代の明るさを再現したイベントで展示されていた、菜種油に灯した行灯ですが、光が弱く火に近い部分がほんのりと明るい程度の明るさだったようです。当時の納涼床や灯りを描いた浮世絵も残されていますが、行灯のほの暗い中で、楽しんでいたのだと思います。また、月明かりの中、提灯を手にした客たちが行きかう様子も風情があったことでしょう。
提灯のような灯り
現在は、「鴨川納涼床」では、行灯や提灯、それらをイメージするような照明器具も設置され、京都らしい雰囲気を感じます。
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