海外安全ホームページとは?
何かと不安な初めての国への海外旅行。ガイドブックやネット上などの情報は鮮度は高いですが、それだけでは何となく心配……そんな時に一番頼りになるのが外務省の「海外安全ホームページ」です。各国の渡航情報、危険情報、風俗・習慣等の留意事項などが国ごとにまとめられています。■外務省海外安全ホームページ
この海外安全情報、各国のページごとに「危険・スポット・広域情報」「安全対策基礎データ」「テロ・誘拐情勢」「安全の手引き」「医療情報」の5つに大別されています。この中で特に注意して見ていただきたいと思うところが「危険・スポット・広域情報」「安全対策基礎データ」「安全の手引き」の3つです。
各国のページでは「危険・スポット・広域情報」「安全対策基礎データ」「テロ誘拐情勢」「安全の手引き」「医療情報」の5つのカテゴリーがタブごとに分かれている(外務省海外安全ホームページより転載、情報は執筆時のもの)
次に「安全対策基礎データ」ですが、こちらはさらに「犯罪発生状況、防犯対策」「査証・出入国審査等」「滞在時の留意事項」「風俗・習慣・健康等」「緊急時の連絡先」の5つに分かれています。いずれも有用な情報ばかりですので細部まで目を通しておきましょう。
「安全の手引き」ですが、各国在外公館職員による手作り!?の防犯心得がぎっしりとつまっています。特に長期滞在者向けの情報が多いですので、現地に在住予定の人は必読です。
「医療情報」は現地の信頼のおける医療機関情報、「テロ・誘拐情勢」は現地の広域的なテロや誘拐等の蓋然性について解説しています。合わせて確認しておきましょう。当然ですがテロ・誘拐情勢の緊迫した国へはそもそも渡航するべきではありません。
これらの安全情報、各国に派遣されている大使館などの方たちの手によるものが多いのでしょう。国によっては必要最低限の情報を淡々と書いてある所もあれば(中には何年も更新していない国もあります)、あくまでも旅行者目線で、身近な事例を用いて時には優しく、時には厳しく切々と説いてくれている国のページもあります。
この意味で、私が素晴らしいと思うのは中国のページです。こういうページがもっともっと増えれば、このサイトの有用性もぐっとアップすると思いますね。
海外安全ホームページの「中国」の安全対策基礎データ
以前はfaxで情報を取り出していた
危険情報とは?
「危険情報は、渡航・滞在にあたって特に注意が必要と考えられる国・地域に発出される情報で、その国の治安情勢やその他の危険要因を総合的に判断し、それぞれの国・地域に応じた安全対策の目安をお知らせするものです。」(外務省海外安全ホームページより抜粋)つまり、この危険情報が発出されている場所への渡航は、通常よりも上乗せした安全に関する準備、注意が必要ということ。そして、その危険の程度の目安は、4段階にランク分けされています。 以下、それぞれの危険度ランクの説明です。
- ≪レベル1:十分注意してください≫ 【黄】
- ≪レベル2:不要不急の渡航は止めてください≫ 【うすいオレンジ】
- ≪レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)≫ 【濃いオレンジ】
- ≪レベル4:退避してください。渡航は止めてください(退避勧告)≫ 【赤】
各国の危険情報の中にあるテキスト文をクリックしてみてください。その国のどの地域がどのランクなのか、地図上の色分けで一目瞭然に分かります。日本のような安定した国からは考えづらいですが、同じ国の中でも地域によって治安情勢が全然違うということは海外では常識です。
これらの危険情報が発出されていない国・地域も当然ありますから、それを加えて事実上5段階で危険度の目安が示されています。さらに北朝鮮に、これらとは別扱いで「渡航を自粛してください」が発出されています。日本政府の対北朝鮮措置の一環であるのと、国交のない北朝鮮においては、何が起こっても邦人救護活動はほとんど不可能であるためです。
一般的な危険度の目安は?
一般的に旅行できるのは、「十分注意してください」まで
それに関しては、我々一般人が通常旅行しうるのはレベル1の「十分注意してください」までが目安と言って良いでしょう。その上の「不要不急の渡航は止めてください」の地域へは、それなりの緊急性と目的がない限り、立ち入りは控えるべき。また、当然ながら同じ「十分注意してください」の地域でも、その程度や内実は場所によって様々ですから、解説文をよく読んで状況を理解することが大切です。
渡航者や旅行会社への強制力はない!
この危険情報はあくまでも参考情報であって、渡航者やツアー主催会社などに対する強制力はありません。当たり前ですが何事も自己責任ですので、「危険情報が出ていないから安全だと思ったのに~」なんてことは言えませんし、退避勧告が出ている国への渡航を止める権限も国にはありません(例外的に、2015年にシリアへの渡航を公言していた男性に対して旅券返納命令が出されたことはあります)。参考までに、執筆時点で全土(もしくはその国のほとんど)が「退避勧告」になっている国は、シリア、イエメン、リビア、イラク、アフガニスタン、マリ、ニジェール、中央アフリカ、南スーダン、ソマリアの10ヶ国です。現在の世界の最危険国ということになりますが、一部地域にのみ退避勧告が出ている国は、もっとたくさんあります。
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