<目次>
- マタニティ・ハラスメントとは?
- マタハラが起きる原因は「(職場の)理解不足」
- マタハラ退職で機会費用が約2億円!?
- 泣き寝入りせずに相談を!
マタニティ・ハラスメントとは?
マタハラに負けるな!
法的には妊娠・出産を理由に会社を辞めさせることは禁じられているにも関わらず、職場によっては妊娠がわかると急に風当たりが強くなったり、別の理由でとがめられて辞めざるを得なくなった、といった話もあります。
ハラスメントは男性からのものばかりでなく、同性からのものもあるようです。子どものいない女性からが多いといわれますが、産休・育休中の仕事上の負担を直接負わされる社員にとっては、確かに嫌味も言いたくなるのかもしれません。
特に、トップの理解がなく、過去に産休・育休を取って復帰した女性社員がいないか極端に少ない職場で、育休中の体制などがきちんとできていない場合、マタハラが起きやすい傾向にあるようです。
産後も仕事を続けることを望む女性が多く、また、少子化で労働人口が減ることが確実で、女性の活躍が必須といわれているにも関わらず、働く女性が安心して産休・育休を取れる環境が整っていないことは問題といえます。
マタハラが起きる原因は「(職場の)理解不足」
連合が女性を対象に行った「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)に関する意識調査」によると、次のような結果が出ています。「調査結果の概要」から抜粋したものです。■「マタニティ・ハラスメントに関する意識調査」概要
- 働きながら妊娠・子育てする権利が法律で守られていることを知らない 50.3%
- 在職中の妊娠時、「働きながら妊娠・子育て」に不安を感じた 63.0%
- 妊娠未経験の在職者
…将来は「働きながらの子育てを希望」 78.4%
…専業主婦志望 14.8% - 会社に妊娠・出産の当事者支援制度あり 47.4%
(「活用できている」は16.3%) - 「マタハラ」とはどんなものか知っている 6.1%
- 自分がマタハラ被害者だ 25.6%
…うち「相談せずに我慢した」 45.7% - 周囲に被害者がいた 23.2%
- マタハラが起きる原因
1位 男性社員の妊娠出産への理解不足・協力不足 51.3%
2位 会社の支援制度設計や運用の徹底不足 27.2%
3位 女性社員の妊娠出産への理解不足 22.0% - 周囲の社員をケアする制度がある 24.0%
(「機能している」は11.5%)
マタハラ退職で機会費用が約2億円!?
では、もし女性がマタハラで退職した場合、どれくらいの経済的な損失があるでしょう? マタハラで仕事を辞めた場合に、辞めずに仕事を続けていたときにそれ以降で得られたはずの収入が得られなくなることを、「費用」と見る考え方があります。「機会費用が発生する」などと表します。大卒女性の生涯賃金は約2億4110万円です(2016年)。マタハラに負けて勤続6~8年で会社を辞めてしまえば、賃金カーブを考えても、まだ年収が低い間に辞めることになります。勤続年数によっては、累計で4000万円すら稼ぐ前に辞めることにもなりかねません。
つまり、妊娠・出産で、勤続数年で仕事を辞めれば、2億円前後の機会費用が発生する、と言うことができます。当然ながら、入社からの年数が短ければ短いほど、機会費用は大きくなります(もちろん、退職後の働き方によってはこの機会費用が縮小される可能性はあります)。
マタハラには泣き寝入りせずに相談を!
日本労働組合総連合会に相談窓口があります。職場に労働組合があるかどうかや、正社員かパートかといった雇用形態にも関係なく相談できます。セクハラよりも遭っている女性の割合が高いマタハラ。なかなか同僚などには相談しにくいようですので、悩んだらこうした外部機関に相談するのも一法でしょう。
日本労働組合総連合会「なんでも労働相談ダイヤル」
(フリーダイヤル:0120-154-052)
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