JPMザ・ジャパン4兄弟の末っ子
注目の日本株ファンドの動向
JPMザ・ジャパンとほぼ同じような運用スタイルで運用が行われる日本株ファンドが4本あることから、筆者はJPMザ・ジャパン4兄弟と呼んでいます。ちなみに、JPMザ・ジャパンは長男ではなく次男です。同ファンドか新規募集が停止された後、三男の「JFジャパン・ディスカバリー・ファンド」、四男の「成長株ジャパンオープン」に資金流入が加速したことから、両ファンドとも新規募集停止となったわけです。
新規募集が停止されなかったのは、長男の「JPM・E-フロンティア・オープン」だけです。新規募集が停止されなかった理由はさまざまですが、信託金の上限が3000億円と巨額であることが大きいでしょう。
4兄弟の序列は運用が開始された日を基準としていて、末っ子の成長株ジャパンオープンだけは運用会社がJPモルガン・アセット・マネジメントではなく国際投信投資顧問ですが、JPモルガン・アセット・マネジメントに運用指図の権限は委託しています。
組入銘柄に大きな変化あり
次男のJPMザ・ジャパン、三男のJFジャパン・ディスカバリー・ファンドは、依然として新規募集が停止されたままですが、2013年7月24日から四男の成長株ジャパンオープンの新規募集が再開されたのです。成長株ジャパンオープンの7月末基準のマンスリーレポートによれば、騰落率は1ヵ月=3.3%、3ヵ月=-14.1%、6ヵ月=31.0%、1年=100.8%となっています。TOPIXの配当込み指数をベンチマークとしていますが、3ヵ月を除きすべてベンチマークを上回る良好な運用成績となっています。
しかしながら、組入上位10銘柄を新規募集停止される前と比較すると大きく異なっていることがわかります。もともと売買高比率(回転売買)を高めることで高い収益を確保してきたことから銘柄が入れ替わっていることに驚きはありませんが、組入上位10銘柄すべてが東証1部銘柄なのです。組入上位には大型株こそ組み入れられていませんが、時価総額が4000億円を超える中型株は多数入っています。
投資する銘柄には時価総額の制約を設けず、大型株式から中小型株式まで積極的に投資するとファンドの特色に記載されていることから、特色と異なった運用を行っているわけではありません。ただ、これまで新興市場を含む時価総額の小さな小型株の回転売買で運用成績を積み上げてきたことを考えると、やや違和感があります。
組入上位10銘柄は次男のJPMザ・ジャパンとほとんど違いはありませんが、今までは組入上位に見慣れない企業の株式が組み入れられていると「さすが」と感心したのですが、足元の組入銘柄を見ると驚きはあまりありません。
新規投資は様子見をしたいところ
新興市場の株式には向かい風が吹いていることから、東証1部の銘柄にシフトしているのかもしれませんが、他の新興市場などの中小型株ファンドの騰落率と比較すると、やや4兄弟の運用成績が低迷しているように感じてしまいます。それは、東証1部の銘柄にシフトし過ぎているからかもしれません。あるいは2013年7月31日現在、4兄弟すべての純資産総額を合計すると減少したとはいえ2898.6億円あります。同日の日本株ファンドの純資産総額最大のフィデリティ投信が運用する「フィデリティ・日本成長株・ファンド」が3442.57億円と500億円強の違いです。
4兄弟の運用スタイルには、もう1つ選択と集中があります。これぞと思われる銘柄には集中した投資が行われる傾向があるのです。ところが、合計した純資産総額が巨額となったことから小回りが効かなくなり、結果として時価総額の小さい小型株に得意とする集中投資ができなくなった可能性も考えられます。
成長株ジャパンオープンの新規募集が再開されてから1ヵ月が経過しましたが、新規募集停止となった4月のような勢いは感じられません。運用成績が今後どうなるのかを確認してから、新規投資の有無を判断しても遅くはない気がします。なぜなら、信託金の上限までは約420億円もあるうえ、日本株ファンド全般が投資資金の流入に勢いがないからです
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