行政書士試験/行政書士のキャリア・開業

資格取得後の独立体験記 第10回「自分を彩る道」(2ページ目)

開業して2年が経ち、基礎が固まりつつあると感じた私は攻勢に出ようとします。行政書士業務という商品をどう引き立たせるかが重要になりました。自分自身をプロデュースするという難問に悩まされます。

山本 直哉

執筆者:山本 直哉

行政書士ガイド


個性をプロデュース

行政書士は弁護士よりも商品に差がありません。だからこそ個性を売る必要性があると感じていた私は、他の士業のホームページを見ることにしました。

容姿に自信がある人(親しみやすさを感じる顔も含めて)は画像を前面に出していました。学歴を売りにする人はプロフィールにそれを明記し、社会経験を売りにする人はまるで履歴書のように詳細を明記していました。フットワークを強調する人。心配りを売りにする人。地域性にこだわる人。それぞれです。

行政書士開業,独立

開業すると悩みはつきものです。

昔、歌番組で見た、売出し中のアイドル達が他のライバル達を押しのけて、前に出て映ろう、前に出て映ろうといった姿が思い浮かびます。80年代のギラギラした感じです。今ならAKBの総選挙と言ったところでしょうか。

うーん、自分には出来そうも……。と思ったのですが、やるしかないのです。しかし、うーん。自分のいいところをあげていく。うーん。

事務所をプロデュース

個性を売ることに抵抗を感じた私は、他の方法を考えようと、またホームページをみます。すると、事務所をプロデュースという方法をしているではありませんか。簡単に言えば、流行っている事務所ですよということです。行列のできるラーメン屋だから入ってみようという感覚にさせて、依頼を勝ち取る方法です。

例えば、事務所の場所や写真の掲載です。賃料が高ければ、それだけの売り上げがあることを暗に示します。次に、従業員数です。従業員が多いというのも、人件費を賄えるほどの売り上げがあることの裏返しです。さらに、実績の掲載です。依頼件数が何件あるかということです。あとは、予約状況などのスケジュールを明記する事務所もありました。これも忙しいことを示す方法です。

悩んだあげくのはてに

開業して2年。依頼は来るようになりましたが大きな実績はありません。事務所のプロデュースは難しい。かと言って、私に特徴的な個性があるわけでもありません。またも完全に行き詰りました。いつものように、パソコンの前でひとり苦悩します。

悩んだ末に、背伸びや無理は自分に合っていない。そう結論づけた私は、冷静かつ客観的に、第三者的立場に立って、自分の手札に何があるかを見つめました。

多少の学歴(知的労働だから)、著書一冊(専門家として認識される)、予備校講師(講演などを売り込む際に有利)であるという点です。この中で、最も使えそうな手札は、著書一冊でした。そうだこれを使っていこう。これしかないと思ったのです。

最後に

開業を検討している方は、自分をどう売るかということは考えておいた方がいいと思います。私は著書の徹底的な活用法を考えることになります。もちろん、そう簡単にうまくいくわけはありません。しかし、他に手札がありませんでした。そこで、次回は、「著書を持って、街へ出よう」というお話です。
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